豆のフェーブ。あまりに変哲が無さ過ぎる。もしかして埋めたらツルが伸びてくる……?

 花柄の絨毯みたいなコート、ケークサレのレシピ、月2回のホームパーティの慣習、とろけるラクレットチーズ器……フランスから帰国した8年前持ち帰ったいろいろ。数年を経て脱落するモノたちが多い中、生き残った猛者、それはガレットデロア(王様のガレット)。

 切り分けたガレットに陶器のおもちゃ、フェーブが入っていたら王様になれるゲームです。日本のケーキ屋さんが季節が来ると広告でアピールしてくれるから毎年忘れないで済み、今では6歳の長女は知らない人に「あなたはガレットデロアで王様になりましたか?」と唐突に質問するほど、日本国民全員が食べていると思っています。

 今年はきちんと1月6日キリスト教公現祭の日パン屋さんで焼き立てをゲットしました。カラフルなピエロやケーキなどの形のフェーブを毎年楽しみにしていたのですが、「今年は豆の形です」。⁈緑の豆が陶器になっていました。豆!嬉しい!ってなる人口がどのくらいいるという計算でしょうか。今年はフェーブを当てたのは長女。毎年「やったー!」と叫んでいたのが、今年は「……(にやり)」と静かな反応。もう喜んでくれないのか、と寂しい気持ちになっていたけれど、その後2週間くらい会う人会う人に「私、今年一年王なんです。ラッキーななんです」と自己紹介しているところを見ると、内心相当喜んでいたようです。「私、王様なのになんでおもちゃの片付けしないといけないの?」とても不思議そう。現代の王様は大変なんです。

イマイチルールがわかっていない次女。来年は2人ともあたりにしないとマズそう。

 さて、世は緊急事態宣言。以前新型インフルエンザが流行するかもと言うときに、外国からリレンザを個人輸入し、防ガスマスクを家族分揃えたくらいの心配性な人間なので、今回もハチ公ばりに忠実にステイホームしています。お絵かき大好きな長女はオンラインお絵かき教室に参加し始めました。美大出身のイラストレーターさんがタブレットを使って指導してくれます。いずれはオリジナルキャラクターを作成して、アプリでスタンプを販売してお小遣い稼ぎもできるという、お金大好きな親にはシズル感のある習い事です。体験授業では塗り絵を指導。優しい女性の先生で、「ドレスの色は3色くらいにしたらまとまりが出るよ」「バラの絵は中心から描くといいよ」などアドバイスしてくれるのですが長女は「色はたくさん使って虹色にしたいな」「私はバラを外側から描きたい」とのっけからバッチバチ。とりあえずプロに任せます。

 フレンチインターナショナル小学校でも校長がコロナ陽性になるなど、コロナの足音が聞こえてきました。でも食堂にパネルを置く対策が取られている以外は大体普通通り。お迎えの時間は、幼稚園、小学校低学年の親たちが一つの門に集まって高密度なうえ、おしゃべり大好きフランス人の保護者たちの井戸端会議がいたるところで開催されて盛り上がっています。さすがラテン~。

 そうこうしているうちにビッグニュース、2023年のNHK大河、徳川家康が主役だそうです!関ケ原西軍ファンとしては辛い一年が確定です。そろそろ石田三成(西軍)が大河の主役かな、いや、立花宗茂(西軍)もいいねって言っていた一か月前の幸せな私に帰りたい。松潤が家康なら武田信玄に追われてウンコ漏らしたのも絶対やらないじゃん。戦国時代のハイライトシーンなのにな。


吉野亜衣子

ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。ソルボンヌ大学にてフランス文化を学び帰国。日仏文化交流のための NOISETTEを設立。

●NOISETTE公式ブログ 今日もパリで困ってます!

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