フランスという言葉を聞いたら、大抵の日本人がまず思いつくのはきっとフランスパンとフランス革命だろう。前者と後者は一見まるっきり接点がないと思いきや、実は230年前に飢えていたフランス国民に革命をもたらしたのはパンの値段が上がったからという歴史の面白さを実感してしまう。

 しかも当時突然放たれた国民のあの怒りからすると、あれは消費税が単純に8%から10%へ引き上げられたという程度の話では決してなかっただろうと誰もが推測できる。

 今日のフランスはいわゆる大統領制の共和国に対して昔は長い間完全に王国であった。池上彰並みの博識がなくてもベルサイユを作らせたルイ14世やマリーアントワネットを鬼嫁のように見ていたルイ16世の名前ぐらいはどこかで聞いているはず。そして留学、また単純に旅行で来たことのある人は7月14日がフランスの革命記念日だと分かる人は少なくはないと思うが、実はベルばらやギロチンで象徴されるあの革命以降にもフランスは半世紀でまた別な革命を二回とも経ることになる。

 今回はその3回目の革命にフォーカスしたい。ナポレオンが追放され王政復古でブルボン朝が復活して15年が経つ。時代は1830年7月末。「光栄の三日間」だと言われるほど三日連続国民が不満を表に出しながら政権を脅したその夏、まさにフランスの歴史が揺らいだ。

 当時、権力を握っていたシャルル10世と最終的にその後継者として玉座を継ぐことになるルイ・フィリップ以外にも「フランスの王様」という名に相応しいのは他に二人がいた。アンリ5世とルイ19世という名前で即位するはずだった残りの二人は結局王として何の役割も果たせず、歴史の暗闇に葬られたが、『王が4人もいた夏』というカミーユ・パスカルのベストセラーが描写するように暴力と野心に満ちたあの4人がフランスの王になりえたことで歴史的にはなかなかアツい夏だったと。こういうふうにいうとちょっとチャラいかもしれないが、ギャル男が王様ゲームするような話じゃないのでご安心を。


作者=カミーユ・パスカル

題名『王が4人もいた夏』(« L’été des quatre Rois »)

和訳未定


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Rémi BUQUET

フリーランス翻訳家

buquetremi@negoto.fr