4月24日に、アルベール・エルバスがコロナ感染により亡くなりました。数々の美しいコレクションを発表して、低迷の一途を辿っていたランバンを救い、一つのジャンルと時代を築いた偉大なデザイナー。2015年にランバンを去って以降は、様々なブランドとコラボレーションしていましたが、リシュモン傘下に新しいブランド、AZ Factoryを創設し、今年1月末のオート・クチュール期間中に初コレクションを披露したばかりでした。

 まだまだ彼の活躍を見られると思っていたのに、虚を衝かれた気分です。写真は、コレクションと同時に発表された動画からの1シーン。エルバス自らが出演し、彼の思い描くファッションを具体的に映像として見せてくれています(アミラ・カザールが友情出演し、マーク・ジェイコブスやアナ・ウィンター等がカメオ出演)。YouTubeで全編視聴できますので、興味ある方は探してみて下さい。    

 さて、エルバスについての個人的なエピソードをここに。1997年頃、エルバスがチーフ・デザイナーを務めていたギ・ラロッシュの本社へ行った時のこと。友人のモデルのNちゃんがパリコレのショーに出演することが決まり、2着ほどフィッティングをしたのですが、その間お付きの僕は待合室へ。フィッティングルームから丸みを帯びた男性が、何度も何度も顔を出して僕を見つめているのに気付きました。エルバスがアジ専(アジア人専門=英語圏でいうライスクイーン)であることを知ったのはその時でした。合掌~。


トモクン

トモクンという名の45歳。在仏21年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 

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