現在のフランスのテレビを付けたら、もはや例のウィルスより政治の話題の方が取り上げられるようになった。あれほど毎日感染者数や医療系のドラマみたいに病院の話を聞かされていたのに、急にそういう情報が報道されなくなった。ここ一年半のブランクはなんだったのだろうかと不思議に思えるくらい。その理由は? 無論、来春にせまる大統領選に違いない。

マクロン大統領が再選されるかどうかまだわからない中で、エリゼ宮殿の座を奪うために立候補するチャレンジャーは日に日に増え、今度はサバイバル番組を見ているような気がしなくもない。

ところで政界で使われる「左翼」や「右翼」のような言い回しの語源はご存知でしょうか? 実はマリーアントワネットの旦那であり王であったルイ16世の革命時の死刑を決めるために初めて集まった議員たちが、議事堂の中の「右側」か「左側」に立つことで、「反対」か「賛成」を示していたらしい。想像するだけで時代劇を見ているムードになる。

民主的な国の国会議事堂では、未だに左派の政党に所属する議員は左側に座るし、逆に右派の政党の議員は右側の席から法案したりする。シラク元大統領やサルコジ元大統領が「右派」だとすれば、オランド元大統領は「左派」に入る社会党だったのに対し、マクロン大統領はどちらにも所属しないことを主張して、古臭い政党制を覆すように呼びかけたからこそ、2017年に当選した。そのおかげで何十年前からしがみついていた大勢の政治家たちが交代したが、今回ゼムールという「フランスのトランプ」のような政治家もどきが出てきたし、右も左も混乱中。最終的に見せられるのは真面目なノンフィクションか、お笑い番組みたいなものかは来春からの新シーズンでわかるはず。


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「フランス現代史」

作者「小田中直樹」

出版社「岩波書店」


Rémi BUQUET

フリーランス翻訳家

buquetremi@negoto.fr