今の今まで、肝心のパリコレについて書き忘れていました。今回9月にパリに戻り、見たショーはたったの5つ。その中でも、色々な意味で印象深かったのがクレージュです。アーティスティックディレクターはニコラス・デ・フェリーチェ。

 会場は、ニコラスが数年前に友人と一晩中踊り明かしたパーティ会場となった野原で、パリ市内ギリギリだけれど、電車で行くにはとても不便な場所。バスも通っていません。このご時世なので密にならない場所を選んだ結果なのでしょうか。とにかく、交通手段が悩みの種でしたが、知り合いのジャーナリストさんがチャーターした車に便乗させていただきました。ショー開始は朝10時。

 9時半にホテルに集合して出発したものの、森の中のナビに表示されない場所で運転手が手こずり、到着は10時10分。慌てながらランウェイに行き着いて愕然。全然人が集まっていません。それが左の写真。それでも席は徐々に埋まり、想定通りショーは30分遅れでスタートしました。コレクションは、クレージュのスタイルを踏襲しながら、カジュアルでアクセスしやすいアイテムも多く、とても良く練られたものでした。でも、会場へ行くまでのドキドキハラハラの方が強く頭に残ってしまった感じ。

 思えば、今までのパリコレって、こんなことばかりでした。会場と会場が離れていて、次の会場に滑り込むようなスリリングな場面は多々あり、中央から遠い不便な場所に行くまでの苦労は当たり前。それが、コロナ禍以降ショーを行うブランドが減り、それに伴って移動が減り、精神的肉体的負担が随分と軽減されたと思います。人間って楽な方に流れると、元に戻る勇気が中々出てこないもの。もうパリコレはネット配信で良いかも、なんて本気で思っているのでした~。


トモクン

トモクンという名の45歳。在仏21年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 

http://tomos.exblog.jp