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【今月のお客様】杉浦 今日子 さん

フランス・パリを代表するフレグランスのブランド「ゲラン」。同社が今年春に出す夜桜をイメージした限定商品「チェリーブロッサム」は、パリ在住の日本人刺繍家・杉浦今日子さんとのコラボレーションです。杉浦さんに刺繍にまつわるお話を聞きました。

オートクチュール需要に
応じた仏独自の刺繍

まず今回のフレグランスについて教えてください。

 ゲランの4代目調香師ジャン・ポール・ゲランが、日本を訪れた際に出会った満開の桜に深く感銘を受けたことから生まれた香りです。繊細で奥ゆかしさのある桜の香りを表現しています。ゲランのフレグランスボトル、特に限定ボトルは世界中に熱心なコレクターがいるのですが、今回テーマに「夜桜」を提案して、刺繍家としてコラボすることになりました。

杉浦さん自身はいつからパリに?

 今年で12年です。夫もパリが好きなので旅行では何度も来ていました。ただお互い仕事がとても忙しかったので、ある時「1〜2年休もうか」という話になった。それでフランスに住み始めることになりました。


フランスは刺繍家としての活動環境はどうですか?    

 職業として刺繍をする人にとってフランスは良い環境だと思います。手刺繍の国家資格がありますし、日本と比べオートクチュール(高級仕立て服)が盛んで需要も高いため、それらに使う手刺繍のアトリエは多いです。

杉浦さんは日本でも刺繍の仕事をしていましたが、刺繍そのものも日仏では違うのでしょうか?

 フランスには独自の技術があります。今、私が扱っているのは「クロッシェ・ドゥ・リュネヴィル」という、ビーズやスパンコールを素早く綺麗に生地につける技術です。オートクチュールやプレタポルテ(既製服)では大量のビーズなどを扱いますので。フランス東部にあるリュネヴィルという町で生まれました。

この技術をどこで学びましたか?

 リュネヴィルの町にその技術を教えるコンセルバトワール(公立学校)があり、旅行でフランスを訪れた時に1日体験コースを受講したのが最初です。1日で得られる技術ではないため、その時は知識として頭に入れ、フランスに住み始めてから本格的に習いました。

リモート作業では確かめづらい手仕事の質感

フランスでの活動を始めてみてどうでした?

 何より語学に苦労しました。刺繍学校時代にプレタポルテ、そしてオートクチュールを扱うアトリエでインターンシップをしたのですが、外国人は私だけの環境にとにかく「いっぱいいっぱい」でした。学校を修了してからは最初アトリエに就職し、その後はフリーランスになりました。自分の作品に関してもそうですが、日々トライ・アンド・エラーです。


今まで特に印象ある仕事は?

 フランスで活動を始めて間もない頃に取り組んだ、ベルギーのインテリア会社とコラボして作った大きなタペストリーのシリーズでしょうか。今回のゲランもそうですがコラボはいつも印象に残ります。一人で作る作品だと自分の世界の中で作品が収まりますが、コラボだと他人や他社の制限が加わり、そこに自分の作品を組み合わせていきます。自分だけで行う時とは違う面白さがあります。


コロナ禍でのリモート環境はどうでしょうか?


 手の仕事は、実際にものを作った時に手に取ってみないと分からない部分が多いです。質感もそうですし、糸を強く引くのか柔らかく引くのかでも出来が全く違います。その感触をリモートで共有するのがすごく難しいです。


今後の目標は?


 よりリモート環境が進んでいく中で、手で物を作ること、実際に見ることの重要性も伝えていきたいです。クロッシェ・ドゥ・リュネヴィルは、最近では日本をはじめ、アメリカや中国など世界で広まっています。基礎や技術を教えられる人はたくさんいますので、私にしか伝えられないことをこれから見つけていけたらと思っています。


「チェリーブロッサム」は店舗数量限定で2月2日よりゲランの公式オンラインブティック・阪急うめだ本店にて先行発売、2月9日からは伊勢丹新宿店とラ ブティック ゲランGINZA SIXにて販売。
https://www.kyokocreation.com/