100号を迎えた今号は編集長・吉野亜衣子(吉)と現地ライター・守隨亨延(守)と編集部(編)による、ノアゼットプレスのこれまでを振り返る鼎談です。

リヨン駅のレストランで

『SPA!』を目指した創刊時

:いよいよノアゼットプレス100号です。振り返ってどうですか?
:感慨深いですね。実はこの前、全号あらためて読み返したんですが、立ち上げの頃の情熱を思い出しました。
:今は無くなっていると?(笑)。
:いやいや。逆に情熱がよみがえりました(笑)。パリを取り上げる媒体ってお金持ちやオシャレな人しか出ないので、立ち上げ時は「『SPA!』くらい赤裸々な庶民の日常を描こう!」と意気込んでいて。巻頭インタビューにはいろいろな人が登場しましたね。陶芸家、BL漫画の翻訳家、ロックバンド、ビジュアル系批評などなど…。
:ライターさんで立ち上げ時からいるのは?
:最初からいるのは「フランス!バカニュース」の担当者さんと「わたくしミシュラン」のマダム愛さん、そして守隨さん。50号くらいを境に一気にメンバーが入れ替わりながら、今に至ります。
:バカニュースのテンションがこの8年間ずっと変わらないのがすごい。
:そう!皆さんすごいんです。マダム愛さんはいつも締切を守ってくれていますね。
:ヤンさんの「東京どういたしまして」やロリアンヌさんの「東京アバンチュール」も面白かった。
:日本に住むフランス人の奮闘ぶりが伝わってくる記事でした。家のインターホンの代わりに非常ベルを押しちゃったり、蚊取り器を買うときに日本語で何と言うのか分からなかったから蚊の羽音の真似をしたとか(笑)。ロリアンヌさんは、日本人の「とりあえずビール」が理解できず、居酒屋で自分の好きな日本酒を注文したら、堰を切ったようにみんな別々のものを頼んだのでドリンクが全然揃わなくて乾杯できず、「とりあえずビールはそういうことか!」と納得したとかね(笑)。

守隨記者

恋愛事情から日仏文化比較まで

:インタビューではジャン=ポール・エヴァンさんもいましたね。フランス語のインタビューで大変だったことはありますか?

:フランス人はお喋り好きな人が多いので逆に楽です。フランス語で聞きますよ。もしかしたら間違えて訳しているかもしれないですけど!

:途中からインタビューの口調が「ですます」調になったけれど理由は?

:最初の1年くらいはフランスの恋愛事情とか内容がチャラチャラしていたんですが、そんなネタが尽きてきて、その後はソムリエとか専門職から見た日仏ギャップになってきた。内容が変わった影響もあるかもしれないですね。

:うん。パリでテロ事件が起きたり、ノートルダム大聖堂が燃えたり、コロナ禍になったりと、悲しくチャラチャラできない気持ちが重なったことも関係している気がしますね。

:原稿が落ちかけたことも何度かありましたね。「ここがビックリ日本文学」のレミも落ちかけたり。

吉:レミはノアゼットの要だなと思っています。フランス人しか知り得ない見識ある情報を教えてくれる。どの回を読んでも、にわかが知らない人が登場する。「アレコレ、パリコレ。ナンダコレ〜」のトモくんも同じく欠かせない存在。トップ画像を飾っていた写真家の長谷さんにもとても感謝しています。

最近の写真はひたすらあごのラインを隠すのに集中

恋愛事情から日仏文化比較まで

:インタビューではジャン=ポール・エヴァンさんもいましたね。フランス語のインタビューで大変だったことはありますか?

:フランス人はお喋り好きな人が多いので逆に楽です。フランス語で聞きますよ。もしかしたら間違えて訳しているかもしれないですけど!

:途中からインタビューの口調が「ですます」調になったけれど理由は?

:最初の1年くらいはフランスの恋愛事情とか内容がチャラチャラしていたんですが、そんなネタが尽きてきて、その後はソムリエとか専門職から見た日仏ギャップになってきた。内容が変わった影響もあるかもしれないですね。

:うん。パリでテロ事件が起きたり、ノートルダム大聖堂が燃えたり、コロナ禍になったりと、悲しくチャラチャラできない気持ちが重なったことも関係している気がしますね。

:原稿が落ちかけたことも何度かありましたね。「ここがビックリ日本文学」のレミも落ちかけたり。

:レミはノアゼットの要だなと思っています。フランス人しか知り得ない見識ある情報を教えてくれる。どの回を読んでも、にわかが知らない人が登場する。「アレコレ、パリコレ。ナンダコレ〜」のトモくんも同じく欠かせない存在。トップ画像を飾っていた写真家の長谷さんにもとても感謝しています。

セーヌ左岸のカフェ前で。セールはキャリーケース持参。首に巻いているのは枕ではなくマフラーです。

目指すは2024年ノアゼット設立10周年!

:今後のノアゼットプレスは?
:取材先の開拓をもっとせねばと(笑)。
:ノアゼットが創刊した2014年は私の子どもが生まれた年。1月に始まって7月に出産し、子どもが生まれた翌日も誌面を作っていました(笑)。
 ちなみに、卒業されたライターさんでレシピコーナーのミョウレイさんはネットフリックスドラマの料 理監修、子育てコラムのまーちゃんママはケータリングスタジオを立ち上げで有名ブランドとコラボ
するなど目覚ましい活躍をされています。
 今も続けてくだっているちはるさんは関西弁でいつも優しく励ましてくださる人格者で、リラちゃんは漢字と敬語も完璧な日本語で原稿を送ってくださる秀才!本当に人に恵まれてたどり着いた100号。ライターの皆さん、読者の皆さん、編集の小橋さんに心から感謝しています。
 今後の展開としては、ノアゼットプレスの縁の下の力持ち、ベテランジャーナリストトモくんとノアゼットプレスのラジオをスタートします!2024年にはノアゼット設立10年を迎えます。それに向かってもっと楽しいパリ情報を皆さんに届けられるように、初心にかえって頑張っていきたいと思います。みなさま、どうぞよろしく!


吉野亜衣子

ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。ソルボンヌ大学にてフランス文化を学び帰国。日仏文化交流のための NOISETTEを設立。

●NOISETTE公式ブログ 今日もパリで困ってます!

 http://www.noisette-paris.net/aiko-paris/

加藤 亨延

ジャーナリスト。ロンドンで大学院卒業後、東京で雑誌記者として活動し、渡仏。『地球の歩き方』フランス/パリ特派員。 株式会社プレスイグレック https://presseigrek.com/