Sponsor link

今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された早川千絵監督『PLAN 75』が全国公開されます。少子高齢化が一層進んだ日本で、満75歳から生死の選択権を与える制度<プラン75>が国会で可決・施行されたという架空の世界を描いています。

クリエイティブで理想的な環境のフランス

カンヌでの新人監督賞特別表彰の獲得おめでとうございます。

ありがとうございます。

2014年にも短編『ナイアガラ』がカンヌ国際映画祭のシネフォンダシオン部門に出品されていますが、それ以外に今までフランスに来たことはありますか?

 過去に旅行で2回来たことがあります。今回は、日本で撮影を終えた後にパリで2カ月かけて完成までの作業を行いました。アパートが11区のヴォルテール、スタジオが20区のガンベッタでした。

2カ月滞在してみてフランスに対してどんな印象を持ちましたか?

 初めて来たのが20代の頃で、その頃はもう少し町が汚れているイメージでした。ところが今回来たらすごく綺麗ですし、バス停に時間表示があったり便利になっていました。あと人がフレンドリーになりましたね。ニューヨークに10年住んでいたのですが、今回フランスに来てみてアメリカ人との違いを感じました。アメリカは自分の権利の主張が強いですが、パリの人はもう少し控えめというか。町中で喧嘩したりする人も少なくて、粋な人が多いので好きな町でした。

そうなんですね!仕事面ではどうでしょう?

時間に余裕がありました。日本だととにかく詰め込んで仕事をしますが、パリでは10時から始めて18時、19時でぴたりと仕事をやめる。お昼もちゃんと休む。オンとオフを切り替えられるため、クリエイティブ面でも理想的な環境でした。

日本の反応は
仏人には不思議?

主演のミチを演じた倍賞さんについて教えて下さい。

倍賞千恵子さんは本当にチャーミングな人で、冗談を言ったり『男はつらいよ』の撮影秘話を聞かせてくれるなど、みんな大好きでした。倍賞さんがいらっしゃると、いつもニコニコしてしまいます。撮っている内容はシビアで暗いのですが、現場はとても明るい雰囲気でしたよ。

共演の磯村勇斗さんは?

磯村勇斗さんは礼儀正しくて謙虚で、演技に関しては本当に勘が良い人で、とても仕事しやすかったです。今作では表情や佇まいで表現するシーンが多かったのですが、そういうのは若い俳優さんは結構難しいのではと思っていたんです。それをすんなりとやってくれました。

日仏で作品の感じ方に違いはありましたか?

ミチを演じた倍賞さんが、「とにかくエレガントで素晴らしい!いつまでも彼女を見ていたい」という声がとても多かったです。あとフランスでは、見終わって自分の親や祖母を思い出したとか、終わった後に電話をかけたという人がいました。一方で日本では自分事として見ていて、「もし75歳で生死が選べる制度があったら使っているかも」という感想も多かった。

フランスで<プラン75>が可決されたらとんでもないデモが起こりそうですね。

はい、仏メディアの人からは日本人が<プラン75>をすんなり受け入れることがすごく不思議だと言われました。それも日本人の特性として描きたかったところでもあるので、やはりフランスの方から見ると奇異に映るのかなと思いました。

そのあたりの国民性の違いはパリ滞在の時も感じましたか?

日本人はルールを守ろうとしすぎますが、フランス人はルールにとらわれずに臨機応変にやろうとします。誰にも何も言われていないのに、どうして私は普段から縛られているんだろうと思うことは多かったです。

今回のパリやカンヌの経験をどう活かしていきたいですか? 

日本国内だけでの映画作りにとらわれず、今後も様々な国とコラボレーションする映画づくりをしていきたいと思っています。

(文 守隨亨延)


【PLAN 75】

https://happinet-phantom.com/plan75/

配給:ハピネットファントム・スタジオ
日本では6月17日(金)より、新宿ピカデリーほかで全国公開
©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee