現代の社会変化の象徴にもなってきた、「毛」。日本でほぼどの女性を見てもみんなつるつる。腕毛もないことは、最初ショックだった。もしかしたら日本人女性に腕毛が生えないのか?!とも一瞬疑ったが、町中や電車内で目立つ脱毛の広告を見て、そんなことはないと。大きくいうと、フランス人女性は足毛を剃るけど腕毛は剃らないのが主流。

 フランスにいた時、腕毛があっても何とも思わなかったのに、つるもち肌の国で生活するようになってからだんだん意識するようになった。周りのフランス人の友達の中に、最終的に剃った人もいる。女性だから剃るのか、みんながやっているから剃るのか、現地の文化だから剃るのか、自分のために剃るのか。気づけばなぜか、腕毛が自分のアイデンティティーの一部になっていて、在日8年経っても未だに剃れない。

砂糖が原料の天然脱毛剤

 また温泉に行ったら、文化の違いは腕だけではなく、つるつるは見える部分に限られていることも分かった。フランスは、今変わりつつあるといってもアンダーヘアを処理するのに違和感がなく、もしろそれが一般的だとされている。一方で、日本では唯一の自然が残った箇所だ。毛に対する気持ちと当たり前とされている毛の処理は文化によって違うということを改めて感じた。そうなると、そもそも剃る意味は?と思ってしまうね。

駅構内の脱毛広告

 日本でとても気になった表現は「ムダ毛」。毛にも役割があるし、何がムダとされているのかは国と人によっても違う。時代とともに毛の捉え方も変わり、その変化は日本にも広がりつつある。2年前の貝印の「ムダかどうかは、自分で決める」キャンペーンに続き、今年Schick(シック)は「ムダ毛」という表現を自社発信から廃止すると宣言した。意識の変化は、まず言葉選びから始める。


リラ

東京でフランス人観光客を案内する仕事を始めたばかりの26歳のフランス人女子。持続可能な社会の実現に向けての活動もする。趣味は編み物とベランダの植物の世話。