日本で一般的に「フランスパン」として知られている「バゲット」は、誰もが描くフランスの象徴。フランス人の一日の中で、バゲットは様々な味わい方があるのだ。朝は、バターとジャムを載せ、ココアやコーヒーに少しずつディップして食べる。日本人である夫(と一部のフランス人)にとってこの食べ方はありえないけど、これは美味しいんだよね。お昼は、お皿に残ったソースを、輪切りにしたバゲットで拭き取って食べる。厳密に言うとマナー違反とされているけど、ついやりたくなる。夜は、特にこの秋・冬の時期、スープと一緒に食べるのが最高だ。

 もちろん、デザート前のチーズのお供にも。ピクニックでも、バゲットは欠かせない存在だ。手でちぎって、好きなものを挟むだけという手軽さがある。年々一人当たりのパンの消費量が減っているとは言え、ブランジュリー(パン屋さん)はまだ日常で身近な存在だ。また、パン屋さんがない村や営業時間外でもバゲットをお届けできるという、バゲットの自動販売機がフランスのあちこちに現れた。

サンドイッチ:日本vsフランス

フランス人の日常を支えているこのバゲットは、ユネスコの無形文化遺産になりかけているのだ。今年の11月末にその審査があるそうだけど、和食とフランス料理が既に登録されている世界遺産に、果たしてバゲットも追加されるのか? バゲットそのものだけでなく、その伝統的な作り方、職人技、文化やフランス社会での役割がこの登録に込められている。

東京のバゲット

東京ではたくさんのパン屋さんがあっても自分の好みのバゲットを見つけるのが容易ではない。お値段もフランスと比べて高く、買う時はちょっと贅沢した気分になる。でもバゲットのことを語ったら食べたくなったので、行きつけのブランジュリーに行ってきます〜。


リラ

東京でフランス人観光客を案内する仕事を始めたばかりの29歳のフランス人女子。持続可能な社会の実現に向けての活動もする。趣味は編み物とベランダの植物の世話。