マスク着用義務と書かれた地下鉄の表示

春との違いを現地からレポート

10月30日からフランスでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて外出制限が出されています。今年3月に続いて2度目の実施です。約1カ月の期間を経て、11月24日にマクロン大統領が11月28日からの段階的な制限解除をテレビ演説で発表しましたが、飲食店の再開は少なくとも来年1月20日以降になりそうです。春と今回ではパリの様子はどのように違うのか?レポートします。

(文 加藤亨延)

人々に広がるロックダウン慣れ

今フランスは2度目のロックダウンのさなかです。同じロックダウンでも、春と今回のものを比べてみると、雰囲気が少し違うことに気付きます。

春は、得体の知れないウイルスに対しての恐怖と、初めて経験する外出制限に人々の心には不安が渦巻いていました。しかし今回は、外を歩いている人も多く、状況を知らずにポンとパリの街中に連れていかれたら、「いつものパリじゃないの?」と思うほど、春と様子が違います。

人々の心に余裕があるのは、新型コロナの特性が春に比べて少しずつ分かってきたこと、そしてロックダウンも2回目となり対処の仕方が分かったこと。人々が外出しているのは、前回と異なり学校が閉鎖にはなっていないこと、そして外出できる要件が春より緩やかになったことなどです。

ただし、感染拡大のペースも緩やかになっているのかといったらそうではなく、多い日では24時間でのフランス国内の新規感染者が、8万人を超えた日がありました。ただその後は、この原稿を書いている数日前の時点で、ようやく新規感染者が1万人を下回りました。

パリから地方へ逃げ出す人が減った

1回目と2回目のロックダウンの違いで、こんな話がパリジャン紙に載っていました。春はテレワークに加え学校も閉鎖になったため、お金持ちの多くの人が家族でパリから地方にある別荘に避難しました。窮屈なパリでロックダウンを過ごすよりも、地方の広い家で過ごした方が心地良いからです。

しかし、今回もテレワークは推奨されるものの子どもの学校が休みにならないため、パリから離れられなかった人もいたそうです。それでもやはり、パリから“逃げ出す”ための大渋滞は起きました。またコロナ禍になってから、もうすぐ1年が経とうとしています。テレワークが推奨されたことで、都心から離れてスペースに余裕のある地方へ引っ越しを考える人も増えました。

パリ市内各所に設置されたPCR検査用テント

コロナ禍で顕在化した各国の国民性

手洗いも、どうやら少し緩みが出ているようです。調査会社IFOPが調べた統計によると、3月は帰宅時に手を洗う人が8割以上だったものの、7月には7割台に、10月は6割まで落ちました。ただし、この原稿を書いているのが11月ですので、もしかしたらまた意識の変化が起きているかも知れませんが。

フランスは個人主義が強い国です。フランスは日本のような、上から言われた「自粛」がなかなか一斉に通りません。各々での判断がしやすく、または意見を言いやすい風土は、ときに「誤った」上意下達を制することができますが、ウイルスの拡大防止という点においては、上手く働かない部分もあります。長所は短所であり、短所は長所となります。

「新型コロナ」は世界中にとって招かざる客でした。しかし、その共通の事柄に対してどのような対応をするのか、国民性や文化を比較するという点では、大変興味深い事柄となりました。


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加藤 亨延

ジャーナリスト。ロンドンで大学院卒業後、東京で雑誌記者として活動し、渡仏。『地球の歩き方』フランス/パリ特派員。 株式会社プレスイグレック https://presseigrek.com/