昨年の10月初旬のこと。ケンゾー社で子供服のデザインを担当していた友人から高田賢三さんの訃報を聞いて、ハッとしました。

フランス人と日本人の2人の元ケンゾー社広報の女性たちとフェイスブックで繋がっているのですが、彼女たちが賢三さんの亡くなる2週間前から頻りに賢三さんとの2ショットをアップしていて、これは一体どういうことなのだろうかと思っていたからでした。既に、その頃から具合が悪かったようです。

思えば、先述の子供服デザイナーの友人と渡仏後2日目に会い、彼女のとりなしでケンゾー社に1ヶ月半、実習生として入り、得難い経験を積むことができたのは、僕のキャリアにとってとても大きなことでした。それから、ケンゾー社にいたデザイナーさん達とは仲良くさせて頂いていて、賢三さんとも事あるごとに顔を合わせ、昨年は傘寿のパーティにも呼んで頂き、僕の人生の節目々々に賢三さんの姿が見え隠れしていました。半ば、賢三さんは永遠に生きているものだと勝手に信じ込んでいたのだけれど、訃報を聞いた時にすんなり受け入れることができたのは、おそらくフェイスブックの件があったからでしょう。そして、賢三さんの育ての親ともいえる文化学園の大沼淳前理事長もその1ヶ月後の11月に亡くなり、大転換期を迎えているような気がします。ちなみにこの写真は、2016年に友人の繊研新聞の記者、松井孝予さんと一緒に賢三さんの自宅でインタビューを行った時のもの。当時、話に挙がったインテリアのプロジェクトを今年実現され、まだまだ活躍されそうだと思っていましたが、それはそれ。ゆっくりして頂ければと思います。


トモクン

トモクンという名の45歳。在仏21年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 

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