娘二人の合同七五三の出費がすごすぎて、お金のかからないお出かけ先に私が選んだのは、葛西の行船公園の無料の動物園。オオアリクイやレッサーパンダなどカリスマ動物とタダで会えて親子で興奮して帰ってきました。コウノトリもいたので、子どもに「赤ちゃん連れてくるんだよ~」と言ったその2秒後に、娘が「赤ちゃんを連れてくるのはコウノトリではない」と書かれたプレートを発見。
そのプレートによれば、ヨーロッパに生息するシュバシコウというコウノトリに似た鳥が、子どものいない夫婦の家の煙突に巣をつくり、鳥が可哀想だからと夫婦が煙突を使わず寒さに耐え過ごしているうちにひな鳥が巣立ち、夫婦も赤ん坊を授かったという話。シュバシコウとコウノトリはくちばしの色が赤と黒で違うもののかなり似ているため、勘違いされたそうです。
こうして40年の勘違いが発覚したのですが、私には勘違いを正すチャンスはあったはずです。何を隠そう、我が家にもシュバシコウのぬいぐるみがあるから。パリに住んでいたころに有名なクリスマスマーケットのあるストラスブールで買ったもの。アルザス地方の象徴となっている鳥で、街中のお土産屋さんで売っていました。くちばし、激赤い。「コウノトリだらけ~!」って皆で言っていたのも、10年ずっと「コウノトリくん」と話しかけていたのも、すべてシュバシコウでした。無知のミルクレープや~。
ドイツに近いこの街の郷土料理がシュークルート。豚に恨みでもあるのかというくらいソーセージやベーコンをこれでもかと煮込んだものとキャベツの酢漬けのセットですが、お腹の弱いM先輩が、突然「トイレ行ってくる」と言って消え、しばらく帰ってこなかったなあ。それほど脂がすごかった。肝心のクリスマスマーケットでは、魔女の宅急便のような街並みの一軒一軒が飾りつけされており、それをホットワイン片手に辿っていくと巨大なツリーに到着。柔らかい電飾の無数の光で胸いっぱいになって、無宗教の私も幸せにしてくれるキリスト教に感謝する瞬間でした。次にヨーロッパの盛大なクリスマスマーケットに行けるのはいつになるのかな?
多幸感と言えば、先日初めて後楽園ゆうえんちで観た戦隊ヒーローショー。女児しかおらずずいぶん遠回りをしましたが、ついに出会ってしまった気持ち。テレビではずっと鼻で笑いながら見ていたのに、特殊なベクトルに洗練され切ったステージに感涙でした。50周年記念で、戦隊ショーの伝説、アカレンジャーやギャバン、仮面ライダー1号も登場。他にもかつてのヒーローたちがわんこそば状態で登場! ヒーローポーズって、ふざけているんじゃなくて本当にカッコいいポーズだったんです。体が大きく、動きも機敏で、奈落の底にポーズを決めて飛び込んでいく仮面ライダーは、バッタではなく完全にイケメン。ママ友が「太ももがスゴイよ」って言っていたのも頷けます。コロナのせいで「僕と握手」はできなかったけれど1メートルの距離でヒーローと同じ空気を吸えて「毎週見てます!」と話しかけたら頷いてもらえた時の高揚感たるや。つるの剛士の歌うテーマソングでヒーローが一斉に踊りだすと、涙でギャバンの短い脚も長く見えました。キュンは後楽園にあったのです。「後楽園で僕と握手」って親にも言ってたんです。
吉野亜衣子
ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。ソルボンヌ大学にてフランス文化を学び帰国。日仏文化交流のための NOISETTEを設立。
●NOISETTE公式ブログ 今日もパリで困ってます!