【今月のお客さま】 

菅原樹里さんと店舗の皆さん

パリ市内のターミナル駅であるリヨン駅に秋田県大館市の老舗「花善」が、駅弁ショップ「EKIBEN ToriMéshi Bento」を期間限定で開店しています。同社フランス法人の菅原樹里さんに現地での駅弁事情を聞きました。(文 守隨亨延)

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駅弁を世界に広めたい

まずお店のことについて教えてください。

明治32(1899)年、奥羽本線・大館駅の開業時に初代の花岡嘉一郎が駅弁の構内販売を始めたことに由来します。パリには2018年に現地法人を設立し、2019年に市内9区に常設店舗を開業。今回パリのリヨン駅構内にお店をオープンしました。

なぜフランス、そしてリヨン駅に?

駅弁を世界に広めていきたいという思いがまず前提にあります。このことを考えたときに、フランスという国はイタリアやイギリスなどの国と隣接し、地理的にも鉄道の路線的にも西欧のハブ的な場所にあります。リヨン駅もイタリアやスイス方面の列車が乗り入れています。そのため、この場所を選びました。

出店を半年(2021年11月~22年5月上旬)に区切ったのはなぜ?

リヨン駅構内の物件の契約条件が6カ月か7年の2択しかなかったからです。2018年にJR東日本さんなどと、1カ月の期間限定で同じ場所にお店を出したことはありましたが、その時のデータだけで7年契約を結ぶのはリスクが大きく、まずは6カ月としました。1年や2年といった期間があればまだ良かったのですが。

どうすれば出店できますか?

半年に1回募集が出ますので、そのコンペにエントリーして通れば出店できます。通るためにはフランス国内での実績が必要ですので、2019年に市内9区に常設店舗を出して2年間実績を積みました。

日仏食品ルールの違いに苦労

どんなお弁当が売れますか?

助六と巻き寿司がセットになった「ベジ・スシ弁当」が売れています。ベジタリアン弁当なのですが、ベジタリアンだからという理由だけでなく、日本食というと寿司を連想する人は多く、そのことも影響しています。本当は「助六」という名前で出したかったのですが、フランスでは伝わりづらいため、この名前にした経緯があります。「秋田弁当」も人気です。鶏めしの他にきりたんぽ、稲庭うどんなど秋田名産を弁当内に散りばめています。以前は午前中には売り切れていたので、今は数を増やしました。それでも15時くらいには売り切れます。

フランスは列車内での空腹を満たすためサンドイッチ程度は食べますが、日本の駅弁文化とはまた違いますよね。

日本と同じ文脈の駅弁文化や「Ekiben」という言葉はまだフランスで浸透していないとは思います。列車内で食べる以外に、現地に着くと疲れてしまうので、行き先のホテルの部屋で食べる食事用にと買われるお客さまも多いです。

店名にもある「鶏めし」自体の評判はどうですか?

感触はとても良いです。フランス人の中には、白飯だと味気なく感じてしまう人も多いようで、醤油と砂糖と酒で味付けしてある鶏めしだと、白飯より食べやすいと感じるようです。小・中学生などの子ども受けも良く、親子で買いに来てくれる人もいました。

駅出店で苦労したことは?

市内の路面店と違い店舗内にキッチンがありませんので、お弁当は別の場所で作ってここまで運んでいます。フランスの食品管理の法律はお米を想定しておらず、お弁当の保管温度を日本より低く設定しなければなりません。いくらご飯をふっくら炊いても、店舗に並ぶときにはご飯がとても硬くなってしまいました。そのため販売時には、電子レンジで温めていただけるように、お伝えしています。お客さまが自由に使える電子レンジも店舗に備え付けました。

今後の目標は?

リヨン駅の店舗を成功させて、フランス国内の駅への出店を増やしていければと思っています。弊社は駅弁屋ですので、駅以外の路面店というよりは、駅構内にお店を広げていきたいですね。


【EKIBEN ToriMéshi Bento】

https://parishanazen.fr/