ワクチンパスポートが導入されるギリギリのタイミングで、ルイ・ヴィトンのメンズショーに行けました。ヴァージル・アブローによる最後のコレクション。アブローはオフホワイト(Off-White)のデザイナーとして一世を風靡し、2018年にルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターに就任。フランスの伝統的なブランドのデザイナーにアフリカ系アメリカ人が30代にして大抜擢、世界的に注目を浴びました。

 しかし、翌年に体調不良のため休業。その時点で癌の診断を受けていたものの公表はせず、復活するも病気は進行し、昨年の11月に急逝。今回のコレクションは、彼の生前に全体の95%を仕上げていたそうで、実質的に最後の作品集となります。

 「これは是が非でも見たい」と思っていたので、招待して頂けて本当にラッキー。会場は元市場だったカロー・デュ・トンプル。席にはこのようにお土産のクッションと万華鏡が置かれていました。おもちゃ箱をひっくり返したような、シリアスだけれど楽しい内容に合わせたプレゼント。今回もアブローが生前から打ち出していたフォーマルとストリートの融合を貫いたコレクションでしたが、動物の耳のキャップや花を飾ったバッグなど、子供っぽさが絶妙なアクセントとなっていて、さすがと思わせるバランス具合でした。終盤に登場した天使の羽を背負った白のスーツのシリーズは、神々しくもアブローの死を思い起こさせます。最後はアブローと仕事を共にしたスタジオとアトリエの人々全員が登場し、感動的なフィナーレを迎えました。

 今何かと話題のカニエ・ウエストとは親交が深く、また様々なミュージシャンやアーティストたちとのネットワークがあったアブローは、誰しもが認める人格者で、まとめ役を亡くしたことはコミュニティにとって大きな損失だったようです。サカイ(sacai)のコレクションでは、目立たないように背を丸めて最前列に座っていた彼の様子が頭に残っていて、その奥ゆかしくも優しい姿が思い出されます~。


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トモクン

トモクンという名の45歳。在仏21年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 

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