人それぞれだとはいえ、我々人間は基本的に勝手な生き物である。交換レートと関係なく自分の懐に1ユーロも入らない限り行動を起こさない傾向は誰にでもある。所詮ノーギャラで動けるのは金持ちの特権で、響きの良い慈善パーティーだって裏を返せば減税やブランディングの話は必ず出てくる。無理もない。自分に何のメリットにならないことを人はなかなかやらない。初デートで堂々と奢る男に下心が必ずあるのもその例。懐の大きさを見せたらパンティーの中を見せてもらえると期待しない紳士はこの世にいないだろう。

 ただし自分の置かれた状況よりもっと都合の良い状況を求めるのはごく自然で決して悪くない行為である。むしろ利益追及行動が社会全体の利益をもたらすと経済学者が説くのだ。デカい箱を開ける才能しかないユーチューバーはどういう成り行きで皆の幸福度を上げるのか正直見えないが、その暮らしっぷりを見せられたら仕事ばかりしないでもっと自由が欲しい気持ちは余裕でわかる。

 好きな時間に起きて好きな時間に働き出す。フリーランスの生活は毎朝満員電車に乗る者からすればなかなか羨ましいはず。コロナ禍で浸透したテレワークがどれだけ楽なのかを実感した会社員の中でフリーランスになった人は少なからずいたでしょう。ただ専門性を身につけていない限りは結局のところ、相手先の言いなりになり何の自由も享受できず、以前よりきつい勤務時間を押し付けられる羽目になる。「一人で仕事したい人」用の自己啓発本は再びブーム中のようだが、たいていは内容がくだらなく、その真実を反映しない。何より作者は読者の悩みに付け込んで彼らの幸せよりまず自分の報酬のために書いたのを忘れないでおこう。そうだ、人は基本的に勝手な生き物である。


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Rémi BUQUET

翻訳家・通訳者

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buquetremi@negoto.fr