【今月のお客様】フレデリック・マゼンクさん

水際対策も徐々に緩和が進み、フランスとの距離も近くなった日本。そんな時に頼りになるのが仏政府観光局であるフランス観光開発機構です。日本での代表を務めるフレデリック・マゼンクさんに今後のフランス旅行の傾向を聞きました。

日本人旅行者の本格化は秋頃から!?

フランス観光開発機構について教えてください。

1971年に日本に事務所を開設して以来、50年間フランスの観光PRを担ってきました。フランス国営ではなく半分を公費、残りの半分をパートナー企業からの協賛で賄う半官半民です。

フランスに興味を持つのは女性が多い印象ですが?


 私たちのオンラインコミュニティでは女性が7割くらい、女性比率が高いのは昔から変わりません。年齢層も大学生から定年後の人まで幅広いです。逆にフランスに来ない年齢層は子育て世代ですね。


この傾向は世界共通なんですか?         

同じアジアでも中国は逆で、ファミリーで来る人が多いです。子どもが小さなうちにフランス旅行を経験させて外国の歴史や文化を学ばせようと考えているようです。

いつ頃から渡仏する日本人旅行者が増えそうですか?

 私たちとしては、今年7月後半から10月くらいまでフランス旅行のキャンペーンを打つ予定です。キャンペーン効果が出るのが早くて秋。ただ、今はもう少し余裕を見る人が多いため、おそらく半年後でしょう。そうするとキャンペーンの効果としては10月から来年の春にかけて現れるでしょうね。

ポストコロナの観光PRでは新たなスポットなども紹介するのでしょうか?


 いえ、新しい場所は出しません。これはわざとです。ポストコロナのフランス旅行のPRは、時間が経っても変わらないものという意味で定番のコンテンツを中心に置きます。ただ、2023年にはフランスでラグビーワールドカップが開催され日本代表は西部ナント、南西部トゥールーズ、南東部ニースで試合が組まれています。よって同地のPRには力を入れます。トゥールーズがあるオクシタニー地方はまだまだ日本で知られていない地域かもしれませんね。

冒険心を持って
外の世界へ!

ウクライナ問題の影響はありますか?


 驚くほど影響は全くありませんでした。世界からフランスを訪れる旅行者のキャンセルが増えるということもなかったです。日本オフィスは東南アジアも管轄しているのですが、日本と東南アジアの大手企業のビジネストリップも5、6月はとても増えました。ただ、日仏間のフライトには影響が出ていて、便数が減り燃油が高くなり、またロシア上空を迂回することによるフライト時間の増加で航空券は高くなっています。

日仏間の飛行機の混み具合は?


 航空会社によりますが、毎便、席の95%以上が埋まっています。そのため個人手配だったら乗れるんですが、団体旅行の場合は旅行業界がいざ動こうと思っていても席を十分に確保できない状況が起きています。夏は大学生など若者が渡仏する時期でもあるのですが、航空券の価格高騰で大学生は予算的に乗れずシニアが中心になっています。


今後のトレンドなどあるんですか?


 実はここに日本メディアと旅行業界のギャップがあります(笑)。メディアが気にするのは「何が流行るか」という未来のこと。しかし業界の興味は「何が売れたのか」という過去のこと。業界は確実に売れるものを押したいですから知名度が高いものから優先的に扱います。しかしメディアは誰にも知られていないものを紹介したいので、そこで差が生まれます。メディアのトレンド作りが先走ってしまうと、業界が追いつけず商品化されないので結果的に流行らないということになります。双方のタイミングが重要です。


日本では若者が海外旅行に行かなくなったと言われますが。


 先日、大学で学生たちに聞き取りをしたところ、海外旅行は近場に行きたいという人がほとんどでした。これは日本の社会全体にも言えて、リスクを避ける人がとても多いです。ただ、少しの冒険心があるからこそ世界は面白くなりますので、怖がらないで外の世界に出てみてください!



【フランス観光開発機構】


https://jp.france.fr/ja