歴史的に、イギリスとの仲は微妙な感じのフランス。最近では欧州連合からイギリスが離脱し、ますます溝ができた感があります。でも、故エリザベス女王はフランス語を流ちょうに話し、生前何度も来仏していたため、仏国民からも親しまれていたのです。
英仏協商100周年だった2004年に女王はパリにきて、当時の市長ベルトラン・ドラノエに導かれ、市場街のモントルグイユ通りにある老舗菓子店「ストレー」を訪れました。どういう経緯か調べても言及しているものがなく、未だに謎。ただ、フランスでのエリザベス女王についての記憶というと、この事が鮮明に残っているのです。当時の熱狂は凄まじいものでした。その後、お店の持ち主が変わったせいか(現在はア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユが所有)、ストレーの店主とエリザベス女王が一緒に写ったパネルは撤去され、人気アイテム(?)だった同写真をプリントした絵ハガキも売られなくなったようです。
さて、そのストレーはフランス革命以前の1730年創業とのこと。それだけでも凄いのですが、お店のストーリーもなかなかで、ルイ15世に嫁いだポーランド王スタニスラスの娘、マリー・レクチンスカに随行してきた菓子職人、ニコラ・ストレーが創業し、スタニスラス王の発明といわれているお菓子「ババ・オ・ラム」は、実はこのストレーが生み出したものだそうです。店内はとてもクラシカルなのですが」、それもそのはず、画家のポール・ボードリーが手掛けた内装は1864年からそのまま保全されており、現在は歴史的建造物に指定されています。そんなグランド・クラシックな場に置かれたお菓子は、約300年(!)の歴史を感じさせるコッテリ濃厚味。これぞフランス菓子の元祖、と思わせる強さを備えています。是非お試しあれ~。
Stohrer
51,rue Montorgueil 75002 Paris
Tel: 01 42 33 38 20
トモクン
トモクンという名の45歳。在仏21年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。
●友くんのパリ蚤の市散歩