パリのトイレ事情。ノアゼットプレス編集長、吉野さんとのポッドキャストの番組中でも触れた話題ですが、30年近くパリにいて、これまでになかなか大変な目に遭っています。でも、長く住んでいると何とか折り合いを付けられるようになるのです。そうして日本にやって来た時にトイレの清潔さに感動できるわけです。
 以前、工事中の渋谷駅で、夜半過ぎに尿意を催して簡易トイレに入った時のこと。まるで百貨店のトイレかと思う程の清潔さにビックリした記憶があります。ちなみにフランスの簡易トイレは本当に悪夢です。パリ郊外の古物市で仕入れをしていた時代のこと。簡易トイレが設置されている市があり、毎回入る度に嫌な思いをしました。とにかく、次の人のためにキレイに使うという配慮は全く無く、荒れ放題。それはモラルの違いでもあり、掃除は掃除人がするものとするフランスの教育の違いでもあり。郊外ではカフェさえ簡単に見つけられず困ることが度々あり、それが遠方に足を向かわなくなった大きな要因でもあります。


 パリの話に戻すと、地下鉄にはもちろんトイレはなく、カフェのトイレもこれまた清潔ではない。そもそもカフェは何かしら注文しないとトイレを使わせてくれません。パリ市内に無料トイレが設置されてから、トイレ探しで焦ることは少なくなりましたが、やはり衛生的ではないですし、メンテナンスの悪さが散見されます。では、パリには素敵なトイレが無いのか。実はあるのです。それが、素敵な黄金の白鳥型蛇口が設置されているホテル・リッツのトイレ。アーケードの手前という場所さえ知っていれば、そしてそれなりの身なりをしていれば、わりと気軽に入れるのです。ただし、入り口で入場理由を聞かれる可能性があるので、その時は「奥のアーケードを見に行きたい」と言って下さい。成功を祈ります~。


トモクン

トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 
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