コロナで交流が途絶えていた中学時代からの友人と、数年ぶりに再会し、近況を報告しあいました。話題がひと段落すると友人がニコニコと「それで、あいちゃんが高校時代たくさん勉強していたのは、今の何に繋がってるの~?」えーと、なんだろう?ぐうの音も出ません。さらに「私も太ったんだよね~」。太ったって話したっけ?「あいちゃんみたいにフリーランスだと仕事がつまらないってことじゃん。会社勤めの私はどうしよう」。仕事つまらないって言ったんだっけ……?数年会わないうちに、友人は心の声が漏れちゃう疾患にかかっている。頭を使わない暮らしをして、太っていて仕事がつまらないように見えたんだね。半分正解!

新宿伊勢丹のフランス展で見つけたホワイトアスパラの山。春ですね!


 ナメられ力が日に日に増してきている私は、常に丁寧な暮らしに憧れ続けているため、先日は慣れないキャンプに相模湖の方へ行きました。初心者の自覚があるので、テントではなくロッジを予約。炭の入った袋と食事もセットが届けられたのですが、えーと、こちら火はどのように……?携帯でキャンプ受付に電話をし「すみませんが今日宿泊している者ですが、火はどうしたらつきます?」スタッフ「え?」あまりに基本を知らないでやってきた客に戸惑うスタッフ。指示してもらいながら着火剤の上に炭を積み上げ、火を付けることに成功。その上に網を置き、肉や焼きそばをジュ―。って下に落ちるゥー!炭の山に吸い込まれていく素材たち。「すみません、食材が下に落ちていくんですが」スタッフ「それは、鉄板を網の上においてください」。ていうか、炭を摘んだトングで食材を焼くの、きっと間違っているな。でももうポイントオブノーリターン。煙がもうもうと立ち上がり、娘たちは「目が痛いから部屋に入っていい?」。親が炭だらけになりながら必死で焼いた肉を部屋に運んで、本来やりたかったことは何だったのか思い出せなくなったころ食材が終了。「で、火はどうするんですか?」スタッフ「蓋をしてほっといてください。僕らが消します」。無知な中年女性から電話が鳴り続けるのに疲弊した模様、翌朝にはスッキリ片されておりました。やっぱり人にやってもらうのがいいわ~。せめて朝は優雅にコーヒー飲みながら鳥のさえずりを聴きたい。一人で部屋から出て、ドリップコーヒーとコップを並べ、お湯を沸かした電気ポットを取りに戻って再度外に出たら、コーヒーがない。なんだ? マジック? キョロキョロすると相模湖育ちのデカいカラスがドリップコーヒーの袋もろともくわえて屋根の上に。あいつら、ついにコーヒーの味もわかるように進化したか。さて、カラスを眺めながらお湯でも飲むかな……。


キャンプで丁寧な暮らし20パーセント位しか味わえなかったので、お次は釣りです。生命に向き合い、日々を大切に生きたくなりそう!と釣り堀レストランを予約。外国人観光客であふれるお店はお祭り風の装飾で、釣れると和太鼓を鳴らしてくれる賑やかさ。釣り上げた魚によって価格が異なり、鯛は約3000円、シマアジ約6000円。「シマアジを釣らないように!」家族へ高らかに号令を出し、釣りスタート。しかし号令がプライドを傷つけてしまい、お魚さんは我々をガン無視です。垂らされた餌が全く見えていないよう。合コンで全く相手にされなかったあの日が思い出されてきました。辛い。5分おきに子どもたちがお腹減ったとプレッシャーをかけてきて、縄文時代のお父さんの気持ち。獲物を得るまで(席に)帰れない!「神様もうシマアジでいいです……!」と祈ったけれど時はすでに遅し。結局1時間以上竿を握って、マッチングせず。釣りをあきらめ、引っ掛けて無理やり引き上げるゾーンに移動。狭い水槽にギュウギュウの逃げ場なしのヒラメさんを引っかけて網にイン!とったどー!釣ったというかすくったどー!身近な簡単なネタを引き上げる、私にピッタリだ……。


吉野亜衣子

ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。

●NOISETTE公式ブログ 今日もパリで困ってます!
ノアゼットプレス編集長 Aiko Yoshino「続・毎日パリで困ってました!」|note