35度以上がデフォルトになりつつある夏。ちょうど20年前、フランスは2003年8月にこれまでのない長い「canicule」(「カニキュル」、最低3日以上続く熱波のこと)を経験した。大規模の人的被害をもたらし、政府の役割や様々な社会問題を明らかにして、今でも世間の記憶に残っている。その時9歳だったが、とても暑かったのをうっすら覚えている。これまで天気予報や政府から猛暑に対するアラートのシステムがなく対応が遅れたことから学び、2004年から4つの色を使った全国熱中症警戒情報システムを取り入れるようになった。

冷たいアサイーボール


 フランスと日本の夏の違いは湿度以外にも、エアコンの使用がある。フランスで記録されている最高気温は46度(2019年)にもかかわらず、2021年の時点で冷房のある家庭は25%。私は日本に来てから人生初でエアコンを使った。フランスはエアコンがさほど設置されていない理由は様々あるけど、経済的な負担と環境への影響の理由が大きい。しかし、家の材料だったり、湿度の違いだったり日本よりエアコンなしでもどうにか室内で生活できていたが、年々暑さが上昇し、またコロナで家にいることが多くなって固定式や可動式の冷房を購入する人が増え、徐々に普及している。

涼しい夏の山登り


扇風機と合わせて世界の電力消費量の約10%を占めているエアコンだが、異常な気温の上昇の原因である地球温暖化を悪化させる上、室外機でさらに都内の気温が上がり、悪循環を作っている。この暑さをどうエアコンなしで乗りこえるかというフランスの新聞やネット記事もあって、いろんな対策が紹介されている。今後猛暑が酷くなっていくなか、命と環境を守る新しい冷やす工夫が必要不可欠になるでしょう。


リラ

東京で翻訳者としても活躍する29歳のフランス人女子。持続可能な社会の実現に向けての活動もする。趣味は編み物とベランダの植物の世話。