移民大国のフランス。良い言い方をすれば、多様性のある、様々な文化が融合する豊潤なメルティングポット。でもそれは建前でして、互いに拒否し合あうことで分断を引き起こしているという側面もあります。特にフランスは、ヨーロッパの中でもユダヤ人とアラブ人の占める割合が多く、それが社会を複雑化させる要因の一つでもあったり。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の人々が一箇所にひしめき合っていて、ちょっとしたイスラエルのようになっている感じ、といえばわかるでしょうか。大袈裟?
それで、昨今のイスラエルとパレスチナの問題は、フランスの日常に大きな影響を与えています。デモ行進大好き国のフランスなので、パリの風物詩的に毎週開催されるのです。これが今までにない面倒を引き起こしています。
黄色いベスト運動の時も、一時はどうなるのかと絶望的な気分になりましたが、今回と比べるとまだまだお気楽だったのだな、と思う位に状況はシリアス。宗教対立が絡んでいるせいか、一触即発を防ぐための警察の出動数が圧倒的です。デモ行進のルートには全てバリケードが張られ、通りを横切ることもできません。しかも、パレスチナ支援表明のデモ行進と反ユダヤ主義に反対するデモ行進、ダブル開催になっているのです。週末は蚤の市・古物市に行くので、前もってインターネットネットでしっかりルートを把握し、当日はそこを通らないようにしないといけなくなりました。なんて書いておきながら、すぐに慣れそうな自分もいます。
イスラエルの戦局いかんでは、今後デモ行進が激化して暴動に発展する可能性もあります。ただ、デモ行進を眺めながらカフェでくつろぐのが当たり前のフランスなので、皆さん慣れっこ。上手にやり過ごしてしまいそうです。僕も「何となく大丈夫かも」と思い始め、お気楽なパリジャンマインドに染まっている自分がいるのを確認したのでした。