2019年のLVMH主催のファッションコンクールで、南アフリカ出身のテベ・マググが選出され、その後ケネス・イゼといったアフリカのクリエーターがパリコレクションに進出しました。その時は「これからアフリカが来そう~」なんて思ったのだけれど、最近のマググはショーではなく、プレゼンテーション形式でコレクションを見せるに留まり、イゼは昨年からショーの開催はしないと宣言してサーキットから脱落。新しい風を期待していたのに、トーンダウンしてしまったのは何とも残念でした。


 僕にとっての身近なアフリカのファッションは、街で売られているアフリカンバティックの服。バティックの起源は、インドネシアやマレーシアに伝わるろうけつ染めの布で、インドネシアを統治していたオランダが目を付け、19世紀末にオランダで生産するようになりました。僕がパリに来た1994年頃は、オランダ製のバティックが数多く売られていたけれど、高級品でした。パリにいるアフリカの人々は、バティックのモチーフが琴線に触れるのか、高価な布を買っては服を作っていました。それがわりと最近まで続いていましたが、とうとうアフリカ人の手によるアフリカらしいバティックが登場し、中国生産などで一気に安価なものに。オリジナルのバティックは色が渋めですが、アフリカンバティックは色鮮やか。僕の好みにピッタリです。アフリカンバティックを使用した服は街の市場で売られていたりするので、気に入ったものを見つける度に半袖シャツを購入しています。ただ、縫製はもう少し改良の余地があるかも。そして今年1月のメンズコレクションでは、バルマンがアフリカをテーマにショーを開催。バルマンらしい手法によるもので、とびきり華やかでゴージャス。アフリカンファッション再興の流れが起きそう、と期待させるに十分なものでした。今後の行方を見守りたいと思います~。


トモクン

トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 
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