ジャパンサウンドが轟くパリの飲み街
今月の一冊
『ジャパニーズ・シティ・ポップ』
著木村 ユタカ者名
シンコーミュージック
後日本の音楽史は非常に面白い。演歌歌手やアイドルはもちろん、ポップやフォークシンガーも多く、結局昭和を連想させる歌をあげ始めたらキリがない。カラオケに行ったことがある限り、日本人ならきっと誰も否定できないだろう。
個人的に日本のフォークには疎いけれども、最近シティポップという名でおしゃれな店で流されてる昔のジャパニーズ・シャンソンが結構好きで耳にするたびに早速ググる。「洋楽志向が強くて都会的洗練度高い和製ポップス」という大雑把に紹介される当ジャンルにはちゃんとした定義がなくて実際には把握しづらいが、大体シティポップは70年半ばから80年代にヒットした曲を指す。和モノであるこのサウンドを追い求めるフランスのDJも少なくない。レコード屋でかなりマニアックなやり取りをしているファンを40年前の日本人が聞いたら間違いなくびっくりするだろう。なぜフラ語でこんなに松原みきや大橋純子を熱く語れるんだろうなと。
当時の日本を知らない者でもなぜか哀愁を感じさせてくれるこの非常に昭和っぽい音色に魅了され、日本語がわからなくてもポップ的なサビがなぜか頭に残ってしまう。先月パリ4区にあるカクテルバーに行ったらニッカハイボールはともかく焼酎ベースの飲み物も頼めたが、「ここどこ?」と若干違和感を感じたのは当店のバーテンダーがカタコトな日本語で「フライディ・チャイナタウン」を口ずさんでいたからだ。
ジャパンフェアが人気なのは周知のことだが、多種多様な理由で日本ラブがこのフランスで如何にすごいのかを日に日に実感する。団塊の世代が老いてしまい「戦争を知らない子供たち」すら知らない子供達が多くなったと思い込んでた時代だけれども、その歌を知ってるフランス人も意外と多いかもしれないゾ。