波乱ボンジュー(万丈)!?美容サロンオーナーに聞く「パリ起業のススメ」

【今月のお客様】

Ayanoさん

パリで美顔系美容サロン「Institut Éclat」を2年前から開いているAyanoさん。日本でシャンパンバーを経営していた彼女がパリに来た理由は? パリで起業したい日本人へのアドバイスや、おすすめのコスメも聞いてきました。

自分探しから始まった
パリでの暮らし

今は日本人の方が多くて、20代~ 70代くらいまで。パリには日本人のマッサージは結構あるんですが、美顔系のエステは意外と少ないと思います。今は施術に加えて、化粧品のアドバイスや美容コンサルもオンラインで行っています。

最初は、フランス人の前の彼と渡仏したのがきっかけです。彼と別の街に住んでいましたが、すぐにお別れしてしまいパリに一人で出てきたんです。当時友達から「波乱ボンジュー(万丈)だね」と言われました(笑)。予想外の展開に途方に暮れながらも、元々海外生活が好きだったので、しばらくパリで自分探しでもしようと残りました。それからは自分にできること、やりたいことを必死で探したんです。そんな中、一時帰国時に日本で美容施術を受けて「お肌が変わるとこんなにも楽しい?」と衝撃を受け美容をやりたいと思いました。たまたまエステティシャン募集の広告を見つけて、勉強しながら働かせてもらうことになりましたが、こちらは日本の美容常識に比べてかなり遅れていると感じて、もっとお客様に質の良い施術を自信を持って提供したいと思い、立ち上げを考えました。

私の場合は、ブティック(道路沿いにある、看板が出ているお店)ではなくアパートの一角のキャビネで始めました。フランスには営業権というものがあり、ブティックは開業に何千万円とお金がかかることもありますが、貯金の範囲内でまずはできることをやってみようと思いリスクの少ないキャビネから挑戦することにしました。

フランスは美容後進国?!

まず、フランスは硬水なので、水に含まれる石灰成分などでお肌に不純物が残りやすく、フランスに来て肌荒れを起こす方も多いんです。そういう意味でスキンケアは日本と変えないといけない。硬水と気候、冬は特に暖房などの室内環境の影響で乾燥している方が多いですね。

ええ。硬水だから顔は基本は洗わないんです。こちらではふき取り化粧水でふきとって終わり。これはメイク落とし兼化粧水になっていて、フランス人はスキンケアにこだわる人は少ないのでこれ一本で終わりです(笑)。昔は、フランスって美容の国というイメージがありましたが、今では美容後進国だと感じています。

こちらではファーマシーコスメがたくさんあり、皮膚科医監修コスメもお手頃に手に入ります。ありすぎて絞れませんが、おすすめは、ラロッシュポゼ、CAUDALIE、SVR、レチノールで有名なROCなど。お土産にも喜ばれます。

フランスではバカンスでこんがり小麦色になってこそ夏を謳歌している証と言われ、太陽をたっぷり浴びている方が多いのですが、お肌にとてもダメージを受けています。最近彼らもその事実に気づいてきたんですが、遅いよ!(笑)。紫外線はシミだけでなく、弾力の成分を攻撃してしまうので、そのせいで年齢を重ねるとシワシワな人が多いですね。
 美容について知らない人が多くて「雨の日は日焼け止めを塗らなくてもいいよね」とか「冬は絶対に紫外線ないでしょ」とか言われます(笑)。日本人や韓国人が異常なほど見た目重視なのに比べて、彼らの外見にこだわらない中身重視なところは逆に好きな部分でもあります。

私がいつも思っているのは、「人生一度きり、もし失敗しても死にはしない」ということ。やりたいことをやらないで過ぎていく時間は戻ってこない。行動派と言われますが、小心者で怖がりだったりもします。今はSNSもあるし昔よりもリスクを少なくビジネスを始められる方法があります。乗り出せば意外と船を漕げるかもしれないし、もしかしたら大きな船に乗り換えられるかもしれない。あとで後悔しないように勇気をもって! 私は、お店はこじんまり、美容のプロデュースや販売などテレワークできるものも増やして、日本と行き来できるような生活が今後の目標ですね。