ニューヨーカー秋の楽しみ、リンゴ狩りへ初挑戦 ―車ないとシンドイ―

綺麗な歯並びの歯形の
残るリンゴ

ューヨークの秋といえばアップルピッキング、すなわちリンゴ狩りらしい、と聞いてはいたのですが、もたもたしていたら10月後半に。農場も、Googleで最新の口コミを見ると「もうリンゴはありません」と書いてあって迷ったのですが、ガンジーも明日死ぬと思って生きるって言ってたし、明日死ぬなら虫食いのリンゴでも食べる覚悟を決めて週末行くことにしました。
 グランドセントラル駅からハドソン川沿いを北上する鉄道、ハドソン鉄道に乗るのは初めて。1時間ほどで目標の駅に到着。ウーバーを呼ぼうとするも、ドライバー見つからない。2時間が経過。配車を頼みすぎて携帯の電池がもう 20%と私も携帯もへとへとになったころ、ようやく来たウーバーに乗り込み、農場へ。大きな庭付き一軒家に、紅葉した木々、いわゆる田舎のアメリカの光景を通り抜けると、長女「マクドナルドの三角チョコパイのCMみたい」。子どもにアメリカっぽいことを体験させていると満足していたら、子どもは日本のテレビを思い出していた。
 13時に到着。農場が閉まるのは16時半。これは必殺高速リンゴ狩りを実行する時です。急いで行列に向かうとトラクター荷台に乗れるとのこと。5分くらいの荷台ドライブでしたが、「出発するよ」のアナウンスは一切なしで吹っ飛ばされるかと思った。撮った写真を後から見たら想像より荷台に人が多くて、このまま売られていきそうでした。ドナドナ。
 リンゴ畑は広大でたくさん地面にリンゴが落ちていました。が、傷がある。傷がないリンゴはほぼない。これは傷リンゴの中からの選別能力が問われている。食べていい傷なのか、だめなのか。むしろたくさん実がなっている木を見ると「全体的に病気の木なのか?」と疑心暗鬼に。中には不届き者の歯型が結構あって、アメリカ人の大らかさを痛感。良く見ると食べながらリンゴ狩りをしている人が多いけど、取った分だけ後で重量を測って支払う仕組みだから、ここで食べたら胃の中の重量分の泥棒なのでは、と思う私はまだまだアメリカに染まらない小心者です。
 ニューヨークの沙悟浄として、長い棒を使いまわし、たんまり傷少なめリンゴを取った後はこれまた季節もののパンプキンパッチ。好きなカボチャを選んで持って帰ります。売店には綺麗なリンゴがたくさん。もしかして私たちは売り物にならないリンゴを自ら畑まで行って収穫してお金を払っているめちゃくちゃいいお客さんなのですか。

アップルピッキングのもうひとつのお目当ては、農場で買うアップルサイダー。長い行列にも負けずに並んで、喉がからから。キンキンに冷えたアップルサイダーを飲んでスッキリと思ったら炭酸じゃない!ビックリ!プハ~するつもりが、激甘リンゴジュース一気飲みなんて血糖値どうなっちゃうのー。
 行きの教訓を活かして、帰りはウーバーを予約しておいて、スムーズに駅到着。車両に乗り込むと、満席。子どもたちは通路に座り、東京の満員電車で鍛えた大人は頑張って立つ覚悟を決めるとアナウンス「ごにょごにょごにょ、いったん戻ります」なぜか電車が今まで来た道を戻っている。結局2時間くらいかかって帰宅。今後万が一もう一回リンゴ狩りしたくなったら、車一択です。

でかいのを選びたがる子
どもと、持ち帰るのが嫌な
大人の戦い

吉野亜衣子


ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。

連載中のトモクンとポッドキャストやってます。