東京でツンデレなフレンチランチボックス le parisinル・パリジャン
新学期にもそろそろ慣れてきました。幼稚園のお母さんが全員参加しているグループラインで「自己紹介しましょう」と始まり、皆が「椎間板ヘルニアです」「喘息持ちです」など、持病を公開する流れでで「元バンドマン」と書き込んでしまった翌日、「もしかしてバンドマンの……?」と二人からお声がけいただきました。
「いえ、バンドやっていたのはずいぶん前で」と必死で言い訳したのですが、先方は「やっぱりそうですか!」。聞いてない。「雰囲気とか洋服が、バンドマンとおっしゃって全て納得できました!」。納得いってなかったんかい。おそらく、髪の色がオレンジと緑が混ざっていてパリのMANOUSHで買ったどぎつい花柄コートを着ている下田景樹リスペクトの私の春の装いが保護者間で不審がられていた所、「バンドマンですって!昔のGAKUTOみたいな感じかな!」って膝を叩いた模様です。皆さんが思ってるのと全然違います、って言いたかったけど皆さんなんか嬉しそうだから言いづらい。
結局PTAは人気のなかった文集係に立候補したのですが、「パソコン使えますか?」と係の方に聞かれたので「ええ、毎月印刷物を作っているので」と答えたところ「バンドのチラシですね!?」皆さんの頭からバンドが離れなくなっている。フランス情報誌を作ってますって言ったら更なる混乱を呼びそうで言いづらくなってきました。
フランスといえば、休日のランチに以前パリジェンヌの知人に連れて行ってもらった神楽坂の路地裏フレンチレストラン「le parisine」のランチボックスをテイクアウトしました。電話であらかじめ予約をしたのですがフランス人らしい男性が出て「ボンジュール。ハイ、肉、魚、エビOK。ハイ。ガチャ」この愛想(のなさ)よ! きたよきたよ電話口からフランスの風吹いてきたよ! 名前聞かないのかなと一抹の不安を感じつつ、時間通りに行くときちんと私の弁当が入った紙袋が用意されていました。
ガチガチにホチキスで止められた紙袋にはピンクのハートが5枚、猫1枚、リボンが1枚と可愛らしいシールがペタペタ。取りに行った夫に「子どもが包装してたの?」と尋ねると「いや、おじさんが貼ってるところを見た」。どうりでリボンが逆さまだと思いました。おじさんカワイイ。ランチボックス自体にもニコニコマークシールが貼ってあり、ソースケースにもハート2つ。シールの方はめっちゃ愛想いいじゃん。ツンデレフレンチ。日本に染まらない雰囲気、最高です。
味は依然と同じくフランスを思い出させる、肉汁が染みたお野菜などとっても美味でした。パンもデザートのタルトも付いていて、まるでコースのよう。我が家の1畳ベランダで頂き、マツコ・デラックス並みの存在感を誇る室外機を一瞬忘れパリのカフェ気分を感じることができました。一瞬ね。
吉野亜衣子
ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。ソルボンヌ大学にてフランス文化を学び帰国。日仏文化交流のための NOISETTEを設立。
●NOISETTE公式ブログ 今日もパリで困ってます!