パリへ旅行に行きたい人、暮らしたい人のための情報紙 フランス情報フリーペーパー ノアゼットプレス

September 2023
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翻訳家レミのここが変だよ日本文学

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古典と書いてルーツと読む。

 文系の勉強をする者は二種類に分けられると思う。先生などに薦められた本だけ真面目に読んでいく者と、活字好きすぎてとにかく手に入る本を無差別に読み漁ろうとする者。

金魚の記憶力が羨ましくなる時代

 パリは燃えているか。テレビを見るとこの戦後の傑作の題名はもはや愚問のように聞こえてくる。どこを見ても炎だらけで国の施設が次々に燃やされる中、暴徒の叫び声や機動隊の命令が永遠に交差されていく。今夜も結局また暴動か。この新世紀を迎えてから何回目になるのだろうか。両手で数えきれないような気がしなくもない。

人類史は事件だらけ

 平和がいい。よっぽど変わらない限り誰だってそう思っているはず。軍需産業の投資家やビデオゲームの悪役以外は。流石に古代中国も平和だったら現在68巻出ている「キングダム」もリアルな話になってないのでアレだけど、基本的に平和はメリットが大きい

ゴミの未回収で老後の不安解消を

ニュースに耳を傾ければ大体毎回「〇〇問題」の話をされる。例としてはここ数十年日本でもフランスでも一番頻繁に取り上げられるのはいわゆる年金問題。数学の授業と違ってここは出される問題にどうやら「正解」がないようで、労働者を代表とする組合と与党の間に揉め事がいくら繰り返されてもいつも未解決に話が終わる。

イケアで知られる以前に戦で恐れられた北の民族

欧州が学校だとしたらフランスはきっとズル休みするちょい怠け者のような生徒で、北欧はどちらかというと優等生のように思われるだろう。フランスでは社会課題が浮上する時になぜか必ず経済学者などがテレビで北ヨーロッパと比較してこのフランスはいかにダメなのかを語りやがる。

親のやることと牛の鞦は外れることもある

 定年退職した両親が何故か急に「家系」に興味を持ち始めた。濃厚な豚骨醤油ラーメンに突然にハマったわけではなく、祖父母をはじめ自分の先祖がいつ生まれいつ他界したのかを調べたりするのが趣味になっただけ。基本的には埃まみれの資料から情報をなんとか吸収してなるべく過去を遡ろうとして暇を潰している。久しぶりに電話したら「今1689年なの」と母から言われ、ボケが進んだのかと思いきや単純に調べ物でルイ14世の時代まで遡れていたのだ。素敵な暇つぶしといえば素敵…当時の衣装で外出されない限り。

この世は終わるってよ。

コロナが死語になり、今年こそ家族でわいわいと楽しく年末年始を過ごせるだろうと思いきや、今度はよくわからない原因で勃発した戦争のよくわからない影響で電気代が爆発的に値上がりした。ロシア人が隣国にミサイルを打つたびに駄菓子が高くなるこの経済はどうかしてるぜ。戦争をしらない子供はうまい棒も知らない世代になっていいのか?

「パンとサーカス」の繰り返し

 パリのどこのビストロの前を通っても、最近は与党の愚痴より懸命な声援が聞こえてくる。とはいえこの不景気で政権が急に人気は得られないはず。実際に店内を覗くと、早い時間から大勢の人が大画面の前に集まり、酒を飲みながらそれぞれの国のサッカー選手たちを応援しているのだ。

偉大なる監督の断末魔 勝手に死にやがって

 20世紀を迎えるほぼ5年前にオペラ座近くの地下のカフェでとんでもないことが起こった。店の常連が注文ミスにキレたわけでもなくネズミ狩りで厨房がカオスに化したわけでもない。リュミエール兄弟が自らで撮った映像を有料公開したことで映画館の歴史が始まったのだ。カメラに向かって撃とうとする無法者や止め処なく走る汽車を目にしたあたりで、当時の観客は大絶叫を上げていたらしいので井戸から出ようとする貞子を見ていたら、きっと心臓発作を起こしていたのだろう。

英パスポートに仏語が書かれているワケ

 数年前にイギリスが欧州連合から離脱し、ヨーロッパの「中」でありながらも「外」の立場に戻った。ユーロ圏に加入しなかった時点で、絶対美味しいところばかり持っていかれると心配した人は多かったが、揚げられた魚と芋が代表的な料理の国だから正当な恐れといえばそうだった。