夏のお~わ~り~♪私の頭の中はアマゾンプライムの「バチェラー」のことでいっぱい。出てくる女性はみんな綺麗だけど、「この人は20年後10キロは太る」「この人は10年後痩せて頬がコケるタイプ」と、ダイエット失敗のプロとして目を光らせる私はもう42歳。7月に誕生日を迎えました。その前日には長女の誕生日。プレゼントは旅ということで、今年は大阪へ。まず人生初の宝塚歌劇団!きっと大げさな演技にしらけちゃうんだろうな、とナメておりましたが、最後には目から汗。テンポの良い脚本も、男役のふくらはぎの逞しさも、娘役の歌の上手さも……かつて経験したことのない洗練さにノックアウト。軽率に恋しそう。お客さんも中年女性が多く、ジャニーズのライブよりだいぶ居心地良し~。

 お次は、長女の行きたかった吉本新喜劇。娘たちは本物のすち子さんに、親は本物の西川きよし&桂文珍に大興奮。あんまりおもしろくないボケでもバカ受けする観客と演者の長年の絆に痺れました。なんばグランド花月前でたこ焼きをほおばりながら、関西に生まれたかったー!と叫んだのでした。そろそろ帰るのかと思ったら、なぜかパスポートを取り出す夫。「これから韓国です」は?なんとサプライズで済州島に行くとのこと。大阪で体力の8割くらい使っちゃったけど、サプライズ企画にはサプライズしないといけない!滋養強壮剤飲んで、行くぞー!
 

 2時間くらいであっという間に韓国着。営業マン時代ロッテさん担当だったので、いつかは行ってみたかった憧れのロッテホテルに滞在です。しかし、ホテルのどこに行っても韓国語で説明されてちんぷんかんぷんに。私、韓流顔なのかな? チェジウよりはブラックピンク似がいいな……とまんざらでもなかったのですが、次第に気が付いたのは、他に日本人が一人もいないこと。片言の英語で色々頼むと、皆ニヤニヤ照れ笑いして「イエス……えへへ」と答えてくるスタッフ。なんだ、韓国の人も英語できないんじゃん!皆BTSみたいにしゃべれるのかと思っていた!我ら英語できない仲間ッソヨ!英語難しいッソヨ!一方的にシンパシーを感じてリラックス。

 済州島特産のアワビ粥や太刀魚の辛煮も楽しみ、最後の日。海岸に行ってみることに。ホテルから20分ほど階段を下った浜辺は直射日光が厳しく、子どもたちが真っ赤な顔で暑いと騒ぐのでパラソルの下に逃げ込んだところ、スタッフさんが寄って来て韓国語で「お金払え」と言っている模様。1時間30000ウォン。が、残りの現金10000ウォン。支払いは現金のみ。夫が「交渉してくる」。いや、お金ないから無理だって……と引き留める間もなく交渉に行って、5分後。なぜかガッツポーズで戻ってくる夫。え??「たまたま持っていたドル紙幣でお願いしてどうにかした」。心つよ!やっぱりYOSHIKI、マツコ・デラックスを生み出した千葉出身は強いな~。

 夏休み後半は、新潟越後湯沢に素泊まり激安ステイ。新潟出身の母がその魅力を語る前に死んでしまったので、前々から興味津々だったのです。上越新幹線であっという間に新潟に到着し、その15分後には駅構内食堂で魚沼産こしひかりの暴力的な美味さに衝撃。いつも送ってもらっていた米はこれか。赤ちゃん時代の写真の私はいつもしゃもじをくわえていたわけだ。土産屋には煎餅だらけで、家にいつも柿の種があったのは新潟からの贈り物だったのか、と30年越しに出所が判明。夜食に出てきた生味噌おにぎりも、新潟オリジンだったんだな……など、しみじみとあはれ。

 想定外だったのは、最終日行ったプールのウォータースライダーで、子どもを抱いて滑った夫がお尻を強打。医務室へ行き、水着のままスタッフのおじさんの車で病院へ行ってしまったこと。おじさんが病院、薬局、ホテルと車で送ってくれて、思いがけず現地の人と濃密な時間を過ごしました。「これに懲りずにまた新潟来てくださいね」。優しい。また新潟来ます。このプールには来ないけど。


吉野亜衣子

ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。

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