パリに住む日本人は多いけれど、その暮らし方は十人十色。フツーに暮らす毎日ってどんな感じ? 今回は、パリ在住10年のかえさんにいつもの休日から夏のバカンスの過ごし方について聞きました。

バッグに常備するラケット&ボール

なぜパリに?

大学を卒業して、お菓子を学びにパリにきたのが始まりで、パリ在住10年目です。こんなに長くいるつもりもなかったんですが(笑)。今は和の素材を取り入れているレストランで料理やデザートを作っています。


休日の過ごし方を教えてください。

 レストランなので、日・月曜日が休みなんですが、日曜日は基本のんびり過ごしますね。遅く起きて、昼前にバスチーユのマルシェにいって、同じく料理人のパートナーと季節の食材を買ったり、ごはんを食べたり…。最近はパートナーと一緒に市内の公園にある卓球台で、卓球するのが楽しくて。自宅から徒歩圏内の公園の一角に、卓球台があるんですが、人の少ない月曜日に二人で卓球しています。どこで卓球台に出会ってもいいように、マイラケットは常にバッグに入れとくんですよ。


フランス人は一緒にやったりする?


 はい。大人でも子どもでも、知らない人同士でも卓球できるのは、フランス独特なのかな~。基本はパートナーと一緒にやるんですが、フランス人の子どもが「混ざっていい?」って聞いてきて、一緒に卓球することはありますよ。卓球台のまわりで待っている人もいるんですが、列になったりせずに、台のまわりになんとなくいる。視線も感じるので、ちゃんと並んでなくても順番を回せるんです(笑)。


みんなちゃんと交代してくれるんですか?


 いやいや、フランス人のなかには、視線を感じていても卓球をやめず、交代しない人もいます(笑)。女の人は少なめで、男の人が多いかな。

流れに身を任せる生き方

コロナでバカンスに変化はありましたか?


 コロナの時は、旅行どころか友達ともあまり会わなくなっていましたね。私たちはちょっと控えめに、フランス国内のノルマンディーやニースに行っていました。そろそろイタリアや、スペインの夏の暑い感じが恋しいので、また行きたいです。夏のバカンスは、太陽を求めて南に行く人が多い気がしますが、フランス人には流行りがなくて、自分の行きたいところにいく感じです。


他に旅行での思い出と言えば?


 渡仏したての頃、友達4、5人と車でテントやユースホテルに泊まりながらフランスをはじめ、スイス、イタリア、スペインを回ったんですが、波瀾万丈で面白かったですね。冬のバカンスでは、オーロラ見たさに北欧にも行きました。最初に行ったのはフィンランドのサンタ村。オーロラが見られなくて、翌年にスウェーデンのキルナという町まで見に行ったんです。


2年連続でオーロラ探しは贅沢ですね!


 そうなんです。それからミネラルウォーターで有名な町のある、フランス中部のオーベルニュ地方にも行きました。岩の断層や渓谷など自然が凄すぎて感動したし、すごく良かったです。バカンスの思い出ならいくらでも話せるくらいたくさんありますね。


パリに来てよかったことは?


 難しい質問ですね。私はパリに来て、悩んだことってないんです。「パリ症候群」とかもあまりなくて、嫌なことをあんまり感じたことがなかったんですよ。この国の多様な国民性が合ってるのかな。逆に日本人との会話のほうが気を使うことが多いですね。10年いると敬語とか自信がなくなってくるので(笑)。私の場合は、流れに身を任せていろいろやってきた感じはあります。


最後にかえさんのこれからを教えてください。


 なかなかコレっていう目標がたてられないんですが(笑)。2024年にパリオリンピックがあるので、オリンピックに向けてパリがどんなふうに変わっていくのか、日本に発信していきたいですね。そして、フランスでも日本でもチャレンジ精神を忘れずに、自分らしく生きたいです。