ちょっとブームが去ったもののボジョレーヌーボーが好きな日本のワインの消費量が増加傾向にあるそうだ。一方で、ワイン大国フランスでは、年々ワインの消費量が減ってきているらしい。昔は食事に欠かせなかったワインだったが、今は特に若い世代の飲み方と楽しみ方が変わってきている。

 90年代から、高脂肪食をしているフランス人はなぜか心臓病にかかる人がヨーロッパ諸国と比較して少ない、「フレンチ・パラドックス」と呼ばれる逆説が広まって、その一つの説明として挙げられてきたのは赤ワインを飲んでいるからだというもの。赤ワインをグラス一杯毎日飲むと長生きするというイメージがまだ根付いているけど、今そのパラドックス自体とワインの効果が批判されてきている。


 ワインと言えば文化はもちろん、宗教とも深い関係を持っているのだ。特にキリスト教ではイエスの血に例えられていて、お酒の中でも特別な存在だ。数年前東京でフランス語圏観光客向けにガイドをやっていた時、旅行に来ていたおばあちゃんと孫さんの2人を案内していたところ、お孫さんから「フランスではワインがキリストの血だとすると、日本のお酒は神を表しているの?」と質問が。子どもは面白い質問をするねと思ったけど、確かにお酒は神道の儀式、神事において欠かせないものだ。
 私の場合、お酒はそもそも弱くて普段飲まないし、ワインをいまだに楽しめない。フランスにいた時はもっと若かったのでワインのことをあまり知らないのと飲めないことに対してそこまで気にしていなかったが、海外で生活するとなぜかフランス人としてある程度ワインの知識がないと聞かれたら何も答えられないという謎のプレッシャーを感じる時がある。今度日本のワイナリーの見学に行ってみようかな〜。


リラ

東京で翻訳者としても活躍する29歳のフランス人女子。持続可能な社会の実現に向けての活動もする。趣味は編み物とベランダの植物の世話。