Vive la Frannce ! Vive la République ! フランス万歳!共和国万歳!という歓声が聞こえてきそうです。
三色旗がはためき、ベランダも通りも人で埋め尽くされています。正式なタイトルは、「パリ、モントルグイユ通り 1878年6月30日の祝日」。この絵は、7月14日のパリ祭のイメージとして使われることもあります。
しかし実は、第三回パリ万博の祝賀行事の一つで、普仏戦争の復興の象徴となる願いが込められたお祭りの風景です。
ちなみに7月14日がフランス革命記念日として国民の祝日になったのは2年後の1880年のこと。今では国民の祝日のイメージとしてすっかり定着してきています。


絵の作者はモネ。そう、印象派の画家として有名なモネです。彼の長い画業の中で、数少ない都市風景です。この日モネは、画材道具を持ってパリの街を歩いていました。通りの熱気に圧倒され、街の雰囲気がよく見えるベランダへ行きそこから素早く描いたそうです。同日サン・ドニ通りというタイトルで似た絵も描いています。絵をよく見ると、モネ独特の細かい筆致で、人々の動きも彼らが振る旗も生き生きとしています。
若きモネが目にしていた当時のパリは、中世から近代都市へと変貌する産業革命の真っ只中。その象徴となる鉄道は、近隣の郊外の風景も変化させ、多くの画家の興味の対象となりました。彼らの描いた絵画は、歴史的な資料としても重要です。モネはこの絵を描いた年パリを離れ、それからパリを描くことはなかったそうです。有名な睡蓮の連作はその後ジヴェルニーで生まれました。


妹尾優子

仏語教師の傍、仏文学朗読ラジオ「 Lecture de l’après-midi 」の構成とナレーションを担当。美術史&日本史ラブ。日仏の文学からアートまで深堀りする日々。
https://note.com/tabichajikan/m/md750819c9bc7