【パリジャン&パリジェンヌ突撃インタビュー】

パリの和太鼓グループに現地での太鼓熱を聞く

©︎パリ日本文化会館/澤田博之

【今月のお客さま】

チュルガ・イェシラルタイさん 

9月にパリ日本文化会館で開催された「MATSURI-日本祭り」。コロナ禍にある現在、作家・ミュージシャンの辻仁成さんが企画したコンサートに共演した和太鼓演奏グループであるパリ・タイコ・アンサンブル。今回はその主宰者であるチュルガ・イェシラルタイさんに話を聞きました。 

結成10年のパリの和太鼓グループ

グループについて教えてください。

2011年に結成した和太鼓演奏グループです。同時に和太鼓スクールとしても機能しています。元々は私が2008年にパリで日本人和太鼓演奏家に出会って、彼女の元で練習していたところに、だんだんと人が集まり始めました。

日本で稽古したことはありますか?

2011年に個人的に日本へ渡りました。東京の大江戸助六太鼓で稽古を積んだ後、大江戸助六太鼓の名の下に正式にパリ市内で和太鼓スクールを開くことを許可されました。2012年にも大江戸助六太鼓で稽古をしています。伝統的な技術を伝授してくれる素晴らしい団体です。

どれくらいの人が所属していますか?

コンサートで演奏ができるメンバーは約10人、スクールでは約30人が和太鼓演奏を学んでいます。生徒の年齢は22歳から75歳。男女比は五分五分で、一番多い年齢層は30〜35歳です。日本人の生徒は1人もいません。

演奏を披露しているのはどんな場所?

フランス柔道連合会とは10年来の付き合いで、毎年フランス各地の柔道連合会の鏡開きに呼ばれて演奏しています。他にも、日本企業が開催するイベントや、パリファッションウイークなど、色々な場所で演奏しました。今年10月にはバルビゾンにある画廊で演奏する予定です。打ち上げ花火もあるようです。

©︎パリ日本文化会館/澤田博之

伝統技法ベースにグループらしさを

和太鼓演奏を聴いたフランス人の反応は?

 ほとんどのフランス人にとって和太鼓は、その存在は知っていても生で聞いたことがないもの、あまり身近ではない存在です。でも一度演奏を聴くと、後でわざわざ私たちの元にやってきて、興味深く色々と質問してくれる人は多いです。特に空手を習っている人には「型」に通ずるものがあるらしく、グループ全員が息を合わせ同時に太鼓を打つことに感動されることが多いです。それがどんなに難しいことなのか、よく分かってくれます。

和太鼓ならではの難しさは?

 譜面がないので、とにかく練習することでしか覚える方法がないところでしょうか。楽曲は「どん・つく」など、音を口頭で伝え教えて、覚える方もやはり口頭で覚えます。書いたものがない分、言葉がとても大事になりますし、言葉に集中しなくてはなりません。大江戸助六太鼓が私に許可してくれたパリ教室開校も、口頭で行われました。自分に奢らず、ひたすら繰り返し練習することもとても重要です。パリで教えていても、その境地に到達する人は残念ながらあまりいません。

パリ・タイコ・アンサンブルらしさは何?

 私が作曲したオリジナル楽曲だけを演奏しています。伝統的な大江戸助六太鼓の技術をベースに、ポエジー(詩)が感じられる自由な作曲をしています。それから「型」も重要。「斜め打ち」は大きな動きができるので、美しい所作が音になるような楽曲作りを意識しています。

日本で演奏したことは?

 ないです。しかし、それができたらどんなに素晴らしいでしょう! いつの日か世界中に存在する和太鼓チームが、日本の地で共演できたらと夢見ずにはいられません。


©︎パリ日本文化会館/澤田博之

【Paris Taiko Ensemble】

https://paris-taiko.com/