なぜか立ち合い診察 ― アメリカで初めての婦人科検診
ツリー建設中。ロックフェラーセンターのスケートは1人75ドル。貴族のお戯れです。
ニューヨークに来て初めての婦人科超音波検査にやって来ました。腹が痛くて日系クリニックにかかったのはいいけれど、私の保険では「ウチでは検査できないので紹介状出します」と、バリバリ現地のクリニックに回されてしまった。なんのために日系クリニックに行ったと思っているー? 当日は通訳として夫について来てもらうことにしました。
当日は予約時間から1時間程度待たされた後、高速の英語で「パンツもアンダーパンツも脱いでガウン着て」と、浴衣みたいなガウンを渡されてお着換えからスタート。子宮の超音波だから、上と靴下はそのままにノーパンの変質者スタイル。変質者は寒いことを知る。廊下で若旦那と待っていると、女性の先生が、私を検査室へ手招き。さすがに検査室は男性禁止だろう、と夫に手を振ると、看護師さんが夫に「あなたも来ていいわよ」え? 男性来ていいの?? 看護師さんが「ここに座っていいわよ」と若旦那を座らせたのが、診察台の足の真ん前。見えすぎでしょう。特等席過ぎるでしょう。出産の立合いの時よりだいぶ正面である。ニューヨークに来て、男女共同トイレを何度も見たけど、婦人科診察もジェンダーフリーなのか。若旦那も視線をずらしているかと思いきや、後ほど聞いたところ「ジャングルだった」。見てんのかい。保護活動していなくてもここのジャングルは元気です。地球の酸素を支えたい。
しかし私も43歳。婦人科の診察台に乗った回数数知れず。心頭滅却である。股間が丸出しになろうと、下の毛に白髪が生えようと、鈍感力を研ぎ澄ますのである。「とっても冷たい検査のスティックが入るからね!」と予告された超音波の検査器はジェルがヌメヌメだけど痛い。もしかして、丁寧な検査だからじゃなくて、検査の棒のサイズが西洋人の子宮用なんじゃないか。奥行きありそうだしな、などこちらが必死に気を逸らしている傍らで10分くらいベラベラ喋りながら検査するお医者さん。一つもわからなかったから、看護師さんに説明していたんだと思う。ちなみに若旦那が訳したのは「もっと下のほうにずれろって言ってる」のみでした。ほぼジャ
ングル見てただけ。
検査が終わり「全部終わり。これで拭いてね」と渡されたのは巨大サイズ紙。テーブルクロスかな? しかも固い。印刷用紙かな? 日本でもらえる温かいおしぼりとは真逆の存在である。そして、確かに股を拭いても拭いても拭ききれないジェルの多さ。この国はパンケーキにも生クリームのせすぎだし、検査棒にもジェルのせすぎ。私の股間をパンケーキだと思っているのかもしれない。確かにテーブルクロスが必要であった。検査結果は数日で出るからサイトにアクセスして見てねーと紙を渡され終わり。お股ぬるぬるしてるし、痛いし、よく頑張った。セールでも覗いてラーメンでも食べて帰ろ。とチェルシー地区に寄って帰ることに。人気のチェルシーマーケットも平日は空いてるわねーなんて、普段は並んでいて入れない台湾麺を食べて帰った後、ケータイに「チェルシー地区で通り魔、3人死亡」と大使館からメール。セールとラーメンに引き寄せられて死ぬところだったかもしれない。大使館からは「通り魔は気をつけようがないが、様子がおかしい人からは離れましょう」とあたりまえ体操なアドバイス。様子がおかしい人、今日だけでも30人は見ましたけどどうしたらー。
感謝祭のターキー。触るとグニャってしてます。
吉野亜衣子
ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。
連載中のトモクンとポッドキャストやってます。
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