温泉との出会い

 17歳の時、日本の文化である温泉を体験しようと思い温泉付きのホテルに泊まったことがある。更衣室に入ると、当然ながらみんな裸。まだ言葉もほとんど通じない頃だったので、そこにいた女性に持ってきた水着を見せて「これを着て入っても大丈夫?」となんとか聞こうとしたら、ダメということがわかり、そのまま諦めて部屋に戻った。知らない人同士で裸で一緒にお風呂に入るのが、私にとってハードルが高かったね。2年後の来日の時はやっと入れるようになって、今は存分に楽しんでいるが、実は日本が温泉の初体験ではなかった。

南フランスの野湯

 というのは、フランスにも昔から天然温泉がある国だからだ。古代ローマ時代まで遡る歴史があり、今でも人気の温泉都市がいくつかあるのだ。例えば最近「ヨーロッパの大温泉保養都市群​​」の一つとして世界遺産に登録された「ヴィシー」。他にも「ヴィテル」、「エヴィアン」「アベンヌ」など、水を販売するブランドや化粧品で知られている名前が、実は温泉地でもある。しかし日本の雰囲気と利用が結構異なる。フランスの温泉施設は、医者からの処方箋があって特定の病気の療養・治療法として利用されるイメージが強い。その場合、同じ温泉地に一度に18日間滞在して、条件を満たせば健康保険も一部適用されるのだ。レジャー目的に利用するプランもあるけど、値段はそこそこする。

温泉に見えるカフェの看板

 私はそういう施設ではなく、自然の中にある野湯に行ったことがある。実家がある地域にいくつかあったので子どもの時から何度か連れて行ってもらって、それが私の温泉との出会いだった。今度は親に日本の温泉を紹介したいな〜。また旅行に行けるようになったらぜひ皆さんもヨーロッパ風の温泉をお試しください!


リラ

東京でフランス人観光客を案内する仕事を始めたばかりの26歳のフランス人女子。持続可能な社会の実現に向けての活動もする。趣味は編み物とベランダの植物の世話。