アメリカ人の冬の楽しみ方を学ぶ

雪に埋もれて見えない看板

 朝起きたら窓の外に雪が右から左に降っていた。ツルがドアを叩いてくるレベルの雪。ニューヨークの人は冬の寒い期間をどう過ごしているのか。その真実を探るため、ニューヨーク州北部のモホンクという街へ長距離バスで向かった。

 泊ったのはモホンクマウンテンハウス。いろんな人から素敵だと聞いていたので、いつか行きたいなと狙っていたのが、ブラックフライデーで安くなっていた。マウンテンハウスというだけあって、山小屋感がある。装飾はほんのりおばあちゃんの家っぽいテイスト。この日はジンジャーブレッドコンテストのイベントが行われていた。作品もすごいけど、審査するお客さんの真剣さがすごい。アメリカ人のジンジャーブレッドへの想いは日本の書初め大会よりも深そうである。どの作品も芸が細かく、アメリカ人ってこんな細かい作業できるんだと失礼に感動。

 アフタヌーンティと書いてある部屋ではコーヒーとお茶と、クッキー数種類食べ放題。 3段のスコーンとかサンドイッチではない。あれはイギリス!ここはアメリカ!暖炉の前でクッキーとお茶飲んどけ!ということである。普通に美味しかった。ステラおばさんの家はきっとこんなだと思う。

ステラおばさんの家風アフタヌーンティルーム

勇者のみが佇めるテラス(マイナス10度)


 二日目も相変わらずのマイナス10度の世界。イベントチラシによれば、「ファミリーアクティビティ ディスクゴルフ」初耳である。マイナス10度でできるのか。受付に行くとすんなり「ディスクを2枚買ってね。 20ドル」。日本昔話に出てくる雪の靴、かんじきの進化版のようなスノーシューズを渡され、地図には、ホテルから徒歩15分くらいの場所。たどり着いたのは雪が広がる雑木林。白い中、ちょこちょこ黒く沈んだところがあるのを覗き込んだら間違いなくウンコ。何者かのウンコのホカホカ具合で雪が溶けて凹んでいる。写真に撮ってAIに聞いたら「活きのいい若い鹿の糞です!」とゴキゲンな返事。さらにもう一種類、聞いてみると「狸です!」周りを見渡すとシカとタヌキのウンコが至る所に落ちている。「ここ、ディスクゴルフのコースじゃなくてトイレじゃん」と次女が怒り出した。ウンコを見過ぎたせいか、私も腹が痛い……「ちょっとトイレ行って戻ってくる!」工事の人用のトイレを借りて、戻ってきたら、誰もいない。みんなどこ!必死で林の奥に進んで進んで10分後、奥にずんずん進んでいる家族を発見。母さんうんこに囲まれて遭難する5秒前だったよ。US5。家族はどうやらディスクゴルフのプレートを見つけたらしい。汚いプレートを。何書いてある?完全に廃墟の汚れ。向こう側にこれまた薄汚れたカゴが。ようやくディスクゴルフの全貌がわかった!この籠にフリスビーディスクを入れるんだな!ただのフリスビーで、難しい技術は特に必要なかった。確かに家族向けでもあったが、ほかの家族がプレイした形跡はなかった。5ホールくらい終えたあたりで日が暮れてきて、本気で遭難しそう。そして遭難してもしばらく気づいてもらえなそう、と怖くなって終えることに。ココアとクッキーを配っている部屋にたどり着いて、生命の危機を脱しました。死ぬかと思っ

大雑把なアメリカ人、やるな!

吉野亜衣子


ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。

連載中のトモクンとポッドキャストやってます。