毎年ほんの少しだけ心待ちにしているクリスマスのイルミネーション反比例して年々ショボくなるビュッシー通り

 つい先日、友人の紹介で日本からいらしたご婦人を1日だけ案内しました。前もって提出して頂いていた彼女の希望リストの中に、優先順位は低かったものの「エッフェル塔のイルミネーションを見たい」という項目が入っていました。 21時、22時、そして23時ピッタリの時間から5分間のみ、キラキラときらめくわけですが、 2000年から続いているのでもう見飽きてしまいました。そもそも、僕の性質によるものだけれど、イルミネーションを見ても素敵と思わない。心動かされるポイントが人とは違うようです。


 そんな人間が、年末のイルミネーションで有名な場所へ行っても全く無意味。「ねぇねぇ、今年のヴァンドーム広場、見た?」なんて話題になっても、全然喰い付きません。シャンゼリゼ大通りをたまたま通り掛かっても、「何だか虚飾ね」と思うだけ。とはいえ、僕の住んでいるビュッシー通りのクリスマスのイルミネーションには、毎年いくらかの期待をしています。住み始めた約30年前は、現在のような繁華街ではなく、ただの市場街だったため、年末の電飾は地味なものでした。いつしか食料品店が次々とカフェに取って代わられ、観光客と浮かれたパリジャン・パリジェンヌが集うようになり、電飾は豪華になる一方。窓を開けると、この僕でさえも心躍ったものです。今思うと、ただのバブル時代。
 でも、夢はそう簡単に続かず。一転したのがコロナ禍でした。経営難のためイルミネーションに資金投入できなくなった商店が増え、今ではご覧の通りのスカスカな電飾のみ。これだったら、むしろ飾らない方が良いのではないかと思えるくらいです。資金難云々以前の話で、デザインした人のセンスの問題なのかもしれませんが。このあまりのショボさに、今年は本当の意味で「ラストクリスマス」かもしれないと思ってしまったのでした。頑張れビュッシー通り!


トモクン

トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。

●友くんのパリ蚤の市散歩 
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