フランス人・日本での診療に思う

使い始めた便利な歯ブラシ
海外生活の大変なところは、やはり医療機関での診療。現地の言葉が話せても、普段聞きなれない病気名や医療関係の専門用語が出てきたり、治療に対するアプローチや先生と患者の接し方も自分の国と違ったりして戸惑うことが多い。 10年ぐらい前に東京に留学していた時、人生で初めて婦人科に行って内診を受けた。もうある程度日本語はできていたが、もちろん今よりまだ苦労していた時期。フランスでの経験もなかったのでそもそも何をされるかも分からないし、日本語と英語が混ざった説明で分からず、不安しかなかった。しかも日本の婦人科では、診察台がカーテンで仕切られていて、先生が何をやっているのかが見えない。自分で経験したことがないけどフランスも含め海外はカーテンがないみたい。その後、会社の健康診断で婦人科の内診を受ける機会が数回あったが、あのカーテンに対する気持ちは未だに複雑だ。お互いの表情が見られないし、こちらからも話しかけづらい。周りのフランス人の友達と話してもみんなあのカーテンを嫌がっているけど、日本でも今はカーテンを使わない、あるいはなくしているところもあるようだ。
また最近、歯に問題が出てきて新しい歯科医院に通い始めた。婦人科の内診と同じく、歯医者でも今どういう状況になっているか、何をされているかが分からないまま治療されるのがいやで、ちゃんとコミュニケーションが取れるところを探していた。見つけた歯科医院は今のところ丁寧で、歯医者に対する恐怖心は少し軽減された。この前歯の治療をしてもらったが、まずふかふかの椅子を倒し、目にタオルをかけてもらって、首にもタオルをセット。ここまでは美容室で髪の毛を洗ってもらう時と同じ体勢。フランスは顔にタオルをかぶせてもらったことがないね。対応してくれたスタッフも優しかったし、なんだかリラックスできた。まだまだ治療が続くけど、医者選びは母国でも外国でも大変なので、ひとまず安心だ。
リラ
東京で翻訳者としても活躍する30歳のフランス人女子。持続可能な社会の実現に向けての活動もする。趣味は編み物とベランダの植物の世話。
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