愛と創作の舞台ノアン ショパンと過ごした夏

今月のアート
Domaine de George Sand
ジョルジュ・サンドの館
Nohant Vic
パリから南へ約250km。ノアン (NohantVic) というところに、19世紀フランスの女流作家、ジョルジュ・サンドが生涯愛した館があります。 ノアン城とも呼ばれ、現在は、在りし日のジョルジュの私生活が伺える博物館となっています。
ジョルジュこと、本名アマンディーヌ=オーロール=リュシール・デュパンは1804年パリに生まれました。由緒正しい家系の出身で、父方には、神聖ローマ帝国の選帝侯でありポーランド王でもあったアウグスト2世、その息子でサンドの曾祖父にあたるモーリス・ド・サックスは、フランス王国軍の大元帥にまで昇りつめた人物です。
この館は、18世紀の終わり、モーリスの娘つまりジョルジュの祖母にあたるマリー=オーロール・ド・サックスの代に購入されました。ジョルジュは幼少期、祖母にここで育てられ、のちのジョルジュの人生や、その恋人ショパンにとっても、大切な場所となっていきます。 前期ロマン派音楽を代表する作曲家でピアニストであるフレデリック・ショパンとは、友人のピアニスト、フランツ・リストを通じて出会います。リストに、ショパンに引き合わせて欲しいとお願いするのです。恋人になった二人は、夏は一緒にこの館で過ごし、二人にとって創作の場所となりました。ここで生まれた名曲も数多くあります。
現在では毎年夏に、二人を偲ぶ音楽祭、ノアンフェスティバル(Nohant Festival Chopin)も行われています。ぜひ訪れてみたいですね。
妹尾優子
仏語教師の傍、仏文学朗読ラジオ「Lecture de l’aprèsmidi」の構成とナレーションを担当。美術史&日本史ラブ。日仏の文学からアートまで深堀りする日々。
連載中コラム
- note『 旅茶時間 』
- 仏文学朗読ラジオ『 Lecture de l’aprèsmidi 』