フランスの方が有名? 『UFOロボ グレンダイザー』に見る 日本との人気の違い

ある夏の日、地下鉄シャトレ駅にて乗り換えている時のこと。思わず目を疑ってしまいました。パリの中でも中心の駅の通路全面が、日本の『グレンダイザー』一色だったのです。フランスでは、1978年に『Goldorak(ゴルドラック)』として放送され、視聴率は平均75%、最高は100%を記録。ただし、これは放送局が少なかった時代であり、世代別の中でも子どもについての視聴率、という独特の集計方法によるもの。とにかく、「子どもは全員見ていた」くらいの熱狂的な人気を博したのでした。 『グレンダイザー』は日本でも高い視聴率を誇りましたが、フランスのように後年にも根強い支持を集め続けることもなかったはず。それは、日本では他にもたくさんのアニメ番組や戦隊モノが存在し、選択肢の幅が広かったことも大きいのでしょう。
命尽きるまで応援する「推し文化」の根強い日本ですが、フランスも負けてはいません。日本並み、それ以上にオタクの多いフランスでは、未だに人気が衰えず。2019年には作者の永井豪氏に芸術文化勲章である「シュヴァリエ」が贈られ、2021年には日本文化会館で展覧会が催され、同年には記念切手も発売されたほど。そして、今年は『グレンダイザー』50周年で、シャトレでの展示はそれを記念したものでした。一般家庭が参加する街中の古物市では、たまにグレンダイザーのフィギュアに出くわすことがあるけれど、日本との温度差を感じます。
フランスでは『美少女戦士セーラームーン』も未だに人気。ただ、『ドラえもん』よりも『パーマン』、『銀河鉄道999』よりも『キャプテンハーロック』が好まれているのは、国民的な趣味嗜好の違いがあるのかもしれません。永井豪作品も、『キュティーハニー』や『デビルマン』の方が日本では有名な印象。なぜその差異が生じるのかは良く判らず。そんなところに、 フランス人の独自性を感じる のでした~。
トモクン
トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。
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