新任デザイナーの大洪水!2026春夏パリコレクションは判断の難しいシーズンに

9月末から行われたパリ、2026年春夏コレクション。新任デザイナーによる初コレクションが押し寄せて来ました。マチュー・ブレイジーによるシャネル、ジョナサン・アンダーソンによるディオール、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスによるロエベ、ピエールパオロ・ピッチョーリによるバレンシアガ、グレン・マーティンスによるメゾン・マルジェラ、デュラン・ランティンクによるジャン・ポール・ゴルチエ、キム・ベッカーによるイザベル・マラン。計7組。中でも、大胆な刷新をしたのがシャネルとディオールでした。 会場に入ると、グラン・パレの大空間が宇宙になっていたシャネル(写真)。きっと近未来的でスペイシーな内容に違いないと思ったら、エッジーでモダンな内容でした。いわゆるラブリーなシャネル像とは距離を置いた、落ち着いた大人の女性の世界。これはこれで需要がありそうですが、CCマークの割合が少ないので、それが吉と出るか凶と出るかは神のみぞ知る。 

ディオールは、フェミニンなブランドイメージを保ちつつも、やはりジョナサン・アンダーソンのやることだから、アーティスティックでエッジーになっていました。これまでの顧客にとってはハードルが上がったかもしれません。でも、これまたフタを開けてみないことには、広く受け入れられるか否かは全くわからない。 デュラン・ランティンクによるジャン・ポール・ゴルチエでは、毛むくじゃらの男性の全裸プリントのオールインワンとか、臀部丸出しのスカートとか、本家のジャン・ポール・ゴルチエでさえも躊躇しそうなアイテムが登場。招待されていたジャン・ポール・ゴルチエ本人は、ショー後に感動のためか大号泣。謎過ぎます。そんなこんなで、来年1月末頃の販売がスタートしない限り、新コレクションの一般的な評価は定まらないでしょうね。そもそも、パリコレのような高級ブランドファッション自体が一般的な物でなくなりつつあるため、新コレクションは誰も気にも留めないか…。

トモクン


トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。