集めたフェーヴは2000個!?フェーヴコレクターに聞く公現祭の楽しみ方

【今月のお客様】
美香さん
1月6日の公現祭(エピファニー)*のお祝いの集まりになくてはならないお菓子、ガレットデロワ。お菓子の中にはフェーヴ(fève)と呼ばれる小さなおもちゃが入っており、フェーヴが入った一切れが当たった人は一日王様になれるというフランス独自の文化があります。今回は、フェーヴコレクターであり、版画家・カルトナージュの先生としても活躍される美香さんにフェーヴ文化についてお話を伺いました。
ガレットデロワの
「平和な」切り分け方
- 美香さんのフェーヴコレクションはいくつあるんでしょうか?
数えたことはないんですけど、たぶん2000個くらいでしょうか。ものすごい量です。フランスではフェーヴのコレクターが集まるサロンが開かれていて、そこでいろいろなフェーヴを買ったり、この1月は私もスタンドを出す予定です。いつ頃から集め始めたのでしょうか?
もう33年前にもなりますが、長男がお腹にいる臨月の1月頃、主人がダロワイヨのガレットデロワを買ってきたんですね。「この中に小さいおもちゃが入ってるんだよ」と主人に言われて見たの
が初めてのフェーヴでした。それがだんだん集まって面白くなってきて、一生懸命食べて集めるようになったのは、2000年に入ってからです。
- どんなふうに集めるのでしょうか?
あるフェーヴをかわいいなと思ったら、毎年フェーヴ協会が出している今年出たすべてのフェーヴが載っているカタログで調べて、それを探して集めるんです。コレクター同士で交換することもありますね。サロンに行くと1個ずつ、1€から買えますし、集めたものはカタログにチェックを付けて楽しみます(笑)。昔のフェーヴですとサロンでも、30€以上しますね。アンティークのフェーヴの中でも、初期にドイツで作られていたものはプルミエエポック(第一世代)と呼ばれ高額で取引されています。
- 家族で食べるときに、ガレットデロワはどう切り分けますか?
ガレットデロワを切るとき、集まった家族で一番年齢が下の子をテーブルの下にもぐらせるんです。「これは誰に?」って聞くと、その子が「これはおじいちゃんに」「これはパパに」って指示をする。「それは僕に」って下の子が言ったら、お母さんがわざとフェーヴが当たるように分けてあげる家庭も多いです。それが一番平和だから(笑)。フェーヴが当たった子が王冠を被って王様になれるんです。今でも家族で集まったら、下の子にもぐらせてやります。
フェーヴ収集の楽しみで
長い冬を乗り越える
- 切り分けたときにはフェーヴの位置はわからないものでしょうか?
結構な確率でナイフがフェーヴに当たることはあります(笑)。みんなでわかることもありますしね。こちらではシードルと一緒にいただいたりしますね。普通にお茶にも合いますよ。
- 1シーズンでどのくらいの量を食べるんですか?
家族も好きだったので、多いときは20個以上とか。12月末くらいから出始めるんですが、有名店は1月初めから始まって2,3週間で販売終了のところもあるので忙しいんです。昔は朝・昼・夜と3回食べていました。息子が1月生まれなんですが「お誕生日ケーキだけはガレットはやめてね」と言われました(笑)。
- フェーヴはどこで作られているんでしょうか?
ほとんどベトナムで作られているようです。フランスにも絵付けをして焼く工房がいくつかあって、素敵なフェーヴがありますよ。元々フェーヴというのはソラマメのことを言うんです。今の形は19世紀からで、それ以前は本物のソラマメがガレットに入っていたそうです。
- フェーヴにはそんなにたくさんの種類があるんですか?
大量生産のフェーヴを入れているパン屋さんも多いんですが、オリジナルで作るところもあるので、種類はたくさんあると思います。
たとえばラデュレのような有名店は、ガレットデロワとは別で全種類のフェーヴが入ったセットを売っているんです。それを買えばそのお店のフェーヴをコンプリートできるので、コレクターにはありがたいですが、私はやっぱりガレットを食べないで、フェーヴだけ買うのはなんだか失礼かなと。だからガレットも買って、セットも買います(笑)。
- フェーヴ収集の魅力は何でしょう?
集めて、並べて、眺めて楽しむ、というものですよね、コレクターって(笑)。冬至を過ぎて、1月6日あたりが少し日が長くなったかなと感じる頃なんです。春の訪れや、新しい何かが始まる感じがするのが公現祭なのかな。フェーヴ収集の趣味ができたことで、ヨーロッパの長い冬を乗り越えられるようになった気もします。
*公現祭
カトリックのお祭りの一つ。キリスト誕生のお祝いに東方の三博士が贈り物を持ってきたのが1月6日とされ、そのお祝いをする。



