モネの食卓  19世紀ジヴェルニーに息づく美意識

「印象派を巡る旅」プロモーションイメージ 草上の昼食(モネ)/オルセー美術館

今月のアート

「印象派を巡る旅2026」

フランス観光開発機構

 穏やかな日「印象派を巡る旅2026、ノルマンディとパリ地方で祝うモネ没後100年」の記者発表に行ってまいりました。フランス観光開発機構の主催のもと、ノルマンディー地方観光局およびパリ地方観光局の方々が来日。モネへのオマージュとして、発表会は東郷記念館の日本庭園に面した会場で行われました。今年はモネ没後100年。ノルマンディー地方とパリ地方では、さまざまなイベントが開催されます。 

 記者発表ではイベントの概要、モネの画業について語られましたが、一番印象に残ったのは、モネの義曾孫フィリップ・ピゲ氏が語った“モネと食” に関するお話。

 モネは若い頃貧しく、ジャガイモばかり食べていた時期もありましたが、ジヴェルニーで名声を得てからは美食の喜びに目覚め、その美的センスは食器や食卓のしつらえにまで及びました。 モネの好物をコース仕立てで表現すると、前菜は、卵黄を生クリームとパセリで和え、オーブンで焼いた「ウフ・ベリション」。メインは、生クリームとほうれん草を交互に重ねた舌平目のフィレンツェ風。デザートはサクランボのクラフティ。聞くだけでも色鮮やかで、食卓そのものが絵画のよう。時には、ルノワールやセザンヌ、政治家で友人のクレマンソーも食卓を囲み、芸術談義に花を咲かせたといいます。

 モネは食事の時間にも厳格で、朝食は6時にアンドゥイエットと白ワイン、昼食は11時半。ピゲ氏のお母様は、それに間に合うよう学校を早退していたのだとか。そして夕食は19時。こうしたルーティンによって、モネの日々のリズムは刻まれていたそうです。 レセプションでは、モネが好んだ料理がいくつか再現され、私はウフ・ベリションをいただきました。ゆで卵が愛らしい一皿に変身していて、モネもこれを食べていたのかと、19世紀のジヴェルニーに思いを馳せました。

妹尾優子


仏語教師の傍、仏文学朗読ラジオ「Lecture de l’aprèsmidi」の構成とナレーションを担当。美術史&日本史ラブ。日仏の文学からアートまで深堀りする日々。