閑散期のNYブロードウェイミュージカルに人気歌手NE-YOが登場

最高気温、マイナス10度
ニューヨークの路上では「お金ください」のサインと一緒に座っている人がたくさんいるのだけど、そんなに悲壮感は漂わせていない印象。お友達のAさんの家の前に毎日座っている女性は、季節ごとに新しい服を着ているし、札束を数えていることもあるし、こないだは「ハッピーバースデー」の風船を持っていたとのこと。めでたい。基本的に明るいのである。
そんな陽気なニューヨークだが、雪は降るわ、最高気温がマイナス10度だわ、気温は極寒である。一つだけいいのは観光客が少なくブロードウェイミュージカルの格安宝くじチケットが当たりやすいこと。毎日当たるのでどれに行くか悩む日々。 先日は「ヘルズキッチン」に当たり、アリシアキーズの自伝的舞台ですでに鑑賞済だったのだけど迷わず行ってきた。なぜなら、NE-YOが出るから。
NE-YOとは、グラミー賞も受賞した、踊れて歌がうまく、言うなればマイケルジャクソンの後輩的なスーパースターである。マイケルジャクソンやアッシャーよりも、見た目がちょっとひょうきんそう。宇多田ヒカルと曲を出したり、好きなアニメはドラゴンボールでベジータが好きだったり何かと親しみやすいが、ビヨンセやらセリーヌディオンやらに楽曲提供するなど、ちゃんとしたアーティストである。いつも帽子をかぶっている。必ず帽子を沢田研二のように斜めに被って現れ、郷ひろみのジャケットプレイのごとく外したり付けたりする。大学時代バンドをやっていた時に、みんなこぞってコピーして、青春を彩ってくれた。
そんな彼が期間限定でヘルズキッチンに主役のお父さん役で出演するという大ニュースが!これは大変なチケット争奪戦になるぞー!……取れた。あれー。隣で夫も「あ、俺も当たった」全員当たってる?みんな、NE-YOをなめてもらっちゃ困るよ。 夫は仕事のため、私と次女とスキップで劇場へ。私たちは二階席の三列目を40ドルくらいで購入したのだけど、前の2列誰も座っていなくて実質1番前。隣も通路まで5席くらい誰もいないので荷物置き放題。みんなどうした。スペシャルゲスト来てんだぞ!うまくやれるか、NE-YO。少し不安になってきた。
結果、最高のショーであった。NE-YOは少し緊張していたが、いい加減男の役で、チョイチョイアドリブを効かせて笑いも取っていた。ちなみに帽子はかぶってなかった。とにかく声が素晴らしくて痺れた。いつものダンサブルな曲ではなかったのだけど、ミドルテンポやバラードでこんなに心を震わせてくるのかと。ティッシュがぐちゃぐちゃになるくらい泣いた。隣のお姉さんも泣いていた。
最後のカーテンコール、NE-YOは真面目に他のキャストと同じ振り付けで踊り、目立とうともせず最後少しだけ奇妙なポーズを取ってはけていった。他の俳優さんの歌も素晴らしく、歓声も凄まじく、謙虚にならざるを得ないNE-YOにまた感動。調べたら年齢は二つ上。違う畑に挑戦して本当に偉い。私も〜!あたらしい世界に挑戦〜する〜?可能性もあるかも〜?
最高のショー!

吉野亜衣子
ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。
連載中のトモクンとポッドキャストやってます。
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