アメリカンなクルーズ船で日本料理屋さん体験

船の上のインフィニティプール!?

 大雪のニューヨークを抜け出して、クルーズ船に乗ってカリブ海へ繰り出してきました。飛行機やホテルを取るよりもクルーズに乗ったほうがよっぽどリーズナブルになることが多く、今回はクルーズマニアのお友達から勧められたロイヤルカリビアン、という大手の巨大船に乗ってみました。

  去年できたばかりの船「アイコンオブザシー」という船で、ブロードウェイ顔負けの劇場や、イルカがいそうな(いないけど)プール劇場、アイススケートリンク、ライブハウス……など衝撃のエンタメ施設が揃っている中で1番のウリはセントラルパーク。船の真ん中に木々の茂った公園があります。公園内には、高級宝石ブティックにジャズバー、ベンチに座ると小鳥の囀り(録音)……、まんまと海にいることを忘れるちょろい客は、船酔いすることもなくのんびり。のんびりし過ぎてピノキオみたいにロバになるのでは、と不安になる症候群は大人だけではなく5日目くらいで11歳の長女も「なんか…大丈夫かな…」。8歳次女は全く平常心で食べ放題アイスクリームを1日3個くらい食べてメリーゴーランドに乗っていました。ロバです。

 クルーズマニアが一つだけ残した呪いの言葉「施設はすごいが食事に難あり」。確かに、たくさんのレストランがあり、ビュッフェも食べ放題で選び放題のはずなのに、私たちは一体何百本のフライドポテトを食べたのでしょうか。いつのまにか隙あれば芋を食べてしまう魔法にかかってしまう魔の空間です。  
 このコレステロール値に悪いループを脱するために日本食レストランに行こう!と、予約したのは鉄板焼きのお店。すごい人気でなかなか予約も取れず、他のアメリカ人のお客さんと共にカウンター席に着席。 目の前に現れたインド系コックさんが私たちを見るなり「日本人?? えっ! 本場の?!大丈夫、食材も日本から来てる、レシピも日本から来てる。偽物は私だけだから大丈夫!!」あからさまに動揺して大丈夫じゃなさそう。

 調理が始まるなり日本ではあまり見ないお作法ラッシュ。ヘラをリズミカルに叩いたり、歌ったり、鉄板で絵を描いたり、卵の薄焼きでドラゴンを作ったり。そして、そのドラゴンを小さく刻んで「日本では、食べ物をパーンと投げて口でキャッチすると縁起が良いんですよ」そうでしたっけ。「じゃ、本場の人にやってもらいましょう」!? アメリカ人たちが目を輝かせて見守る中長女が外しつづけ、高まる緊張、散らばる卵焼き。10回目くらいでなんとかキャッチして、アメリカ人たちも大盛り上がり!ここで終わるかと思ったら「じゃあお母さんも」!?断ろうとしてももうヘラに卵焼きを乗せて振りかぶっているコックさん。3回くらいでキャッチしました。ここ一年で1番ホッとした瞬間でした……ってこれ、なんの時間?

  肝心の食事は、信じられない量のバターで炒めた炒飯が丼いっぱいとお肉。味は悪くはないのだけど、胃がもたれて食べ進められない。必死で食べたけど、やっぱり全部は食べられない、とアメリカ人の老夫婦に目をやると「炒飯おかわり」!? 第二次大戦、日本の敗因は内臓の弱さでは?

陽気な日本食屋のコックさん▶

吉野亜衣子


ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。

連載中のトモクンとポッドキャストやってます。