フランスの冬はこの街へ―ナンシー・ストラスブール・コルマール

 大人気コーナー「フランスバカニュース!」を担当してくださっているCさんが一時帰国され、東京にいらっしゃったので久々の再会をしました。約束のランチの前にCさんに何か日本のものをプレゼントしたい、と神楽坂の和風雑貨のお店をウロウロ。気軽な物を~とお店の人と相談しながら決めたのが、日本製の棕櫚小ボウキ。ゴミを集めるだけでなく、棕櫚の繊維によっていい感じに磨きをかけられるとのことで、外国人観光客に人気なんだそう。よし、これにしよう! お土産を買った後、待ち合わせした神楽坂の鳥茶屋という料亭でランチをして、赤城神社のAKAGIカフェでお神酒ジェラートを食べながらCさんとフランス人のパートナーにプレゼントを手渡し。「???」二人の目が泳ぐのを見逃さなかった長女が「あいちゃん!昨日テレビで『フランス人に掃除用具をプレゼントしたら家が汚いから掃除しろって意味だから嫌がられる』って言ってた!」言うの2時間遅かったよ!

サン・ニコラの行列©PierreDefontaine ARTGE


 ところで、私は先日、東京日仏学院で行われたフランス東部の街、ナンシーの観光局の記者会見に行ってきました。現れたナンシーの市長がオシャレで眩しい。俄然ナンシーに興味津々です。頂いた特産のベルガモットを使ったキャンディの香りの素晴らしいこと。ベルガモットはアロマオイルでしか知りませんでしたが、食べられない柑橘系の果物で、口の中がエステサロンの香り。食べる癒しや~。この街で一番盛り上がるというのが「サン・ニコラ祭り」。冬におこわなれる、ショーや大パレードやプロジェクションマッピングもある伝統的なお祭りです。配布されたパンフレットにも一番大きく掲載されていて、白いひげと赤い衣装のおじいさんが大写し。記者たちも「え~、サンニコラさんと言うのはサンタクロースのことですよね?」と恐る恐る質問すると、「違います」。衣装、紛らわしい~!でもサンタクロースのモデルになったと言われる、聖人のことだそうです。悪い肉屋に塩漬けにされそうになった子どもを救ったともされる、子どもの守護聖人だそう。悪い肉屋、恐ろしい……!ドイツに併合された近くの町からたくさんのアーティストが逃げてきたことで、アールヌーヴォー文化が花開いた街でもあり、ナンシーは見どころはたくさん。冬にパリに旅行を計画されている方はパリから鉄道で1時間40分のナンシーに足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

老舗菓子店「メゾン・デ・スール」のベルガモットキャンディ©RegineDatin


 フランス東部の街と言えば、ナンシーよりもドイツ国境に近いストラスブールという街のクリスマスマーケットに行ったことがあります。パリで知り合った日本人男性のMさん主催で、4,5人で鉄道の旅。Mさんはダンス好きのパリ歴も長いお兄さん。実際ストラスブールのレストランでランチした時も、隣の席のフランス人に話しかけて笑いを取ったりして、カッコ良かった。ちなみにストラスブールの名物料理は、シュークルート。酢漬けのキャベツと、ソーセージや骨付き肉を煮込んだもの。ドイツに近いので、仏独いい感じに混ざり合っている雰囲気です。Mさんがしばらく席を立っていたのに、肉にがっついていたせいで気に留めなかったのですが、半年くらい経ってからMさんと飲んでいると「俺、お腹が弱いんだよね」「私もです!」と思わぬ共通点を見つけて大盛り上がり……今思えば、脂分の多い肉がいっぱいでお腹にきたんですね……!

これがシュークルートだ!

 ちなみにMさんからは「パリでトイレが見つからなかったとき用に日本に帰ったら100円ショップで携帯トイレを買って帰るべし」という珠玉の教訓を授けてくださいました。苦労の末に見つけたパリ生活のライフハック、今でも私の心の中で生きています。そんなMさんと見たストラスブールの巨大ツリー、聖歌隊の美しいハーモニーは天国にいるかのようでした。寒空の下、腹を壊していたMさんはさぞしんどかったであろう……。

ストラスブールのいろんなところが飾りつけされてました


さらにフランス東部にはディズニー映画「美女と野獣」のモデルになった、フランスのヴェネチアと呼ばれる美しい街コルマールもありますよ。フランス東部、おすすめです!


吉野亜衣子

ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。

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