夫のみ先にニューヨーク入りし、家が見つかり次第家族の航空券を買ってもらえるという仕組みということで、現在娘二人と実家に転がり込んでいます。出張で何度もニューヨークに行って
いる夫なので、スムーズに家を見つけてきて、私たちも1週間後くらいには追いかけるんだろうなと、実家の父とも「もうすぐ行っちゃうんだな」なんて旅立ちをかみしめていました。
 が、夫の乗ったニューヨーク行きの飛行機がカムッチャッカ半島あたりで引き返したあたりから不穏な空気が漂い始めました。機材の不具合があったとのことで羽田に戻り、翌日再び旅立ったのはよかったのですが、ジョンエフケネディ空港でお迎えを頼んでいた車が到着時間の変更を伝えたものの理解しておらず、大量の食料を積んだ手荷物たちと1時間待ちぼうけを食らった夫。
 それに伴い、もともと到着日翌日に予約していた口座開設のための銀行のアポイントに遅れ行けず。「次のアポイントは1週間後です」! ニューヨークの銀行めっちゃ忙しいな~……ってあれ? 口座開設しないと家の契約できないような……もしかして
今渡米日が延びたような?


 なんとかニューヨークシティに入った夫。やっと家探しスタート。不動産屋さんとの待ち合わせのためメトロに乗った夫は「あれ、一体どっちに向かっているんだろうか」。アナウンスや表示がよくわからず、「体にかかる重力でまがった方向を感知する
テクニックを身につけて移動している!」とドヤっていましたが、多分不正解だと思う。
 また、外食費をケチった夫はスーパーの総菜を買って、口に合わず食べきれず、夕食は手堅くいこうと日本にもある有名中華料理屋さんに入ったら「もしかしてネズミ肉、最悪人肉なのかも」という謎の食感の食べ物を食べきれず。手荷物で持ち込んだ味付けのりをぺろぺろしながらホテルで過ごしているそうです。……全然うまくいってない認定!


 こりゃしばらく行けないな。短い滞在のつもりで小さい布団で3人はみ出しながら寝ていましたが、長くなりそうなのでちゃんと寝られるマットレスを購入しました。広くなったマットレスの上でごろごろしていた長女が「あっ! 気が付いちゃったんだけど!
アメリカ行って私と妹が学校通って英語話せるようになったら、うちで英語話せないのアイちゃんだけじゃん!」舐めてくれたもんだなア!


吉野亜衣子

ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。2024年春よりNY在住。
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