アメリカの京都?サウスカロライナ州チャールストンでER体験

その後、プランテーション農場見学へ。
3連休。ニューヨークは雨予報でどこかに行けという天啓では?といいように解釈して、近場で小旅行を計画し、候補に挙がったのはチャールストン。全く知らない街。チャールストンは「アメリカ人が選ぶ旅行先No. 1」に何度も選ばれる人気の観光地で、南北戦争始まりの地ということで南部の歴史的な街並みが残り、ご飯がとにかく美味しいという。東海岸でサウスカロライナ州にあり、ニューヨークからは飛行機で1時間半。近い!レッツゴー! 持ち前の強運で、アメリカ東海岸に強烈な低気圧が発生していた。飛行機が揺れる揺れる。小型機だから余計揺れる。何とか着陸し、立ち上がった時に、あれ?右目の視界に墨汁垂らしたような濁りが……これ、5月にやった網膜裂孔?!レーザーで焼かないと網膜剥離になるかも!?とはいえ、今は土曜日夜。病院もやってないし、一人で行くには英語力が乏しすぎる……ホテルの部屋に座った後、右目の墨汁の量が激増していることに気づく。もはや、右目は向こう側が全く見えない。
朝イチで近所のERに若旦那に電話してもらい、家族でサウスカロライナ医大へ。チャールストン観光、一つ目。緊張した雰囲気の部屋に通されオレンジのトロピカルジュース柄の靴下と伊勢丹チェックのコートの私は完全に場違い。1時間ほど待つと、オーランド・ブルーム似のお兄さん先生が「お待たせ!」と登場。でかいリュック背負ってパーカー着て、明らかに私のせいで家から呼び出されているオーランド先生。ごめんなさい。 眼科に移動し、さあレーザーどんとこい、と覚悟していたのだけど検査検査。私の右目にレンズを当てて、あらゆる方向から光を当ててみてくれているのだけど、先生の掌が鼻の先にずっと接近しているので途中からにおいが気になってきた。オーランド・ブルームの掌は、きっとこんな香りなのね……。念のため超音波の検査をしたい、と言われ、瞼の上から大量のジェルを塗って機器を当てられ、iPhone接続で写真を撮っている。「網膜は綺麗。念のためもっと網膜に詳しい先生を呼んでるから待ってね」私のせいで呼び出される人間が二人に。この時点で4時間経過。「待たせてごめんね!スナック好きなだけ食べていいよ!」オーランドは子どもにも優しい。1時間後やってきた少し年配のおじさん先生は、ハアハア言いながらドアを開けて「ごめんね!お休みの日なのに待たせてしまって!」私のせいで呼び出されたのにこちらもいい人。ごめんなさい。結局同じ検査をされて、「網膜に問題はなさそう。目の中の硝子体に出血が起きていて、はっきり出血元はわからないけどニューヨークでいつもの先生に見てもらってね」網膜がはがれてないのを喜ぶべきなんだろうけど。「かなり出血しててレアケースだね。衝撃を与えたわけでもないし、アンラッキーだね。」レアケースアンラッキーが5ヶ月ごとに起きているんです先生!本当にレアですか!薬が出るわけでもなく、レーザーもなく5時間缶詰で何もできず手ごたえがないけれど「今から観光楽しんでね!」サウスカロライナ医大の人々はみな親切であった。なんならサウスカロライナ医大のお土産を買いたかったです~。
検査検査…。

吉野亜衣子
ラジオ局を辞め、夫の留学についてパリへ。
帰国後、日仏文化交流のための NOISETTEを設立。2022年で設立10周年。
2024年春よりNY在住。
連載中のトモクンとポッドキャストやってます。
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- note『 毎日ニューヨークで困ってます! 』
- podcast『 CAFE NOISETTE 』


