障害を持つ作家作品をプロダクトにして提供する日本の企業ヘラルボニーがパリを拠点にヨーロッパ進出
障害を持つ作家作品を様々なプロダクトにして提供する日本の企業、ヘラルボニーがヨーロッパ進出を果たし、そのお披露目会が9月23日、パリコレクションの初日に開催されました。
知的障害を持つ4歳年上の兄の作品を世に出したいと弟二人が地元岩手県で立ち上げ、これまでに東京駅やスターバックスの内装に携わり、作品をプリントした服やアクセサリー、食器などをプロデュースしています。様々な障害を抱える作家作品を商業ベースにのせることで、著作権料を作家に還元するという全く新しいビジネスで、世界的にも注目され、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)主催の今年のイノベーション・アワードでは日本人として初めてファイナリストに選ばれました。そうしてヨーロッパ進出を果たし、すでにベルギーやドイツの福祉施設とはパートナーシップを締結。所属する作家たちの作品をあしらった商品が、今後発表されていくようです。
新しい試みとしては、今年になってアートプライズをヘラルボニーが主催し、世界中から2000点の応募があったそう。その中で、見事グランプリに輝いたのが、仙台在住の統合失調症を抱える浅野春香さんの作品。写真は作品のごく一部で、驚くほどに細かく精緻。とんでもない才能の出現です。
技術をひけらかしたい、あるいは有名になって稼ぎたい、そういった欲望はどの世界でもある程度は必要。ただ、彼らの作品からは描きたいという意思だけが伝わって来て、限りなく純粋に感じられます。そんな作家たちの作品がモチーフとなった商品を人々が購入することが、作家たちの生活を支えることになる。今後大きく飛躍する分野となるに違いないと確信し、心に一条の光が差した気がしたのでした。
トモクン
トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。
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