古い物から生まれるモダニティアクセサリー&アンティークショップ サイ・サン・ルイ・パリ

 自分の蚤の市イベントで販売するアイテムを探しに、毎週のようにヴァンヴの蚤の市に出かけていますが、蚤の市マニアでも知られるカトリーヌ・ドヌーヴよりも高い頻度ですれ違うのがワカナさん。今回は、その彼女が2022年にオープンさせたお店、サイ・サン・ルイ・パリ([SAÏ] Saint Louis PARIS)をご紹介したいと思います。
 サン・ポール駅とバスティーユ駅の中間に位置する、9㎡のこぢんまりとしたスペースには、ワカナさんの手によるアクセサリーと、彼女の審美眼に叶ったヴィンテージとアンティークが所せましと並べられています。でも雑然とした感じは一切無く。物と物が美しい調和を見せています。
 欲しいアクセサリーが見つからず、アイデアを探すために蚤の市に出掛けたことから、古い物との付き合いが始まったという彼女。その作品は、様々な時代を経たヴィンテージとアンティークのパーツを融合させたもので、仕上がりはとてもモダン。様々なエレメントが絡み合っていて、日によって違う表情を見せてくれそうです。
 店内に置かれたヴィンテージとアンティークも、彼女のセンスを感じさせるものばかり。ぬいぐるみや人形は、可愛いだけではない、背後にあるストーリーを感じさせ、想像を掻き立てます。フィル・オ・シノワの19世紀の糸箱や、クラリネット用のケースなど、珍しいものもたくさん。その他にも、ドームガラス付きのショーケースやマヌカンなどの什器類から、カメラや計量器などマニッシュ&マニアックな側面を感じさせる道具類まで幅広い品揃え。店内にはいくつものゼンマイ仕掛けの時計が置かれ、カチカチという音の重なり合いが何とも心地良いのだけれど、古い物に囲まれているせいか、時が止まっているかのような錯覚にも陥ります。 古物好きが集う、サン・ポールに広がるアンティークショップ街から歩いてほんの2~3分。こちらのサイ・サン・ルイ・パリまで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

[SAÏ] Saint Louis PARIS

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トモクン


トモクンという名の45歳。在仏27年。ファッションジャーナリスト(業歴17年)は仮の姿で、本当はただの廃品回収業(業歴5年)。詳しくはブログ『友くんのパリ蚤の市散歩』にて。